食品ロス削減月間である10月。さまざまな企業で食品ロスに関する取り組みが行われるなか、廃棄コーヒー豆のアップサイクルをテーマにしたアルコール飲料「蔵前BLACK」などを製造・販売してきたアサヒグループホールディングス株式会社が、新たな挑戦を始めた。

同社は2021年10月下旬から、ビールや麦茶の製造工程で発生する「焙煎麦芽粉砕物」を原料とする紙「モルトペーパー」を、ランチョンマットやコースターに加工して活用することを発表した。

焙煎麦芽粉砕物とは、黒ビールや麦茶を製造する際に、麦芽を焙煎する工程で規格外となり使用できなくなったものだ。アサヒビールのグループ会社であるアサヒビールモルト株式会社で発生する麦芽粉砕物は現在飼料として活用されているが、より付加価値の高い活用を目指し、紙の原料としてアップサイクルさせる仕組みを開発した。

この「モルトペーパー」は山陽製紙株式会社との共同開発によるものだ。山陽製紙はオフィスで排出される不用なコピー用紙を回収しアップサイクルを行う事業や、廃棄される梅の種やビールの大麦カス、コーヒーカスなどを炭にしてすき込んだ紙など、オーダーメイドの紙づくりをはじめ、環境に配慮した取り組みを展開している。

テスト使用するのはアサヒグループの外食事業を担う株式会社なだ万とアサヒフードクリエイト株式会社の店舗。老舗日本料理店「なだ万」ではレストラン事業を展開する全国23店舗でランチョンマットやメニュー用紙として、「アサヒフードクリエイト」では4店舗でコースターとして活用するという。

廃棄食材のアップサイクルといえば、「食」から「食」へのアップサイクルが主流だった。  お客さまが直接手にするテーブルトップ備品まで食品ロスに配慮した商品を採用しているとなれば、サステナブルなお店としてのブランディング強化が期待できるのではないだろうか。

【参照サイト】サステナブルペーパー「モルトペーパー」を開発、テスト展開開始
【参照サイト】次世代に向けたサステナブルなライフスタイルを提案。「UPCYCLE B」プロジェクトを展開

table source 編集部
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