近年、健康志向や、食糧危機、環境問題などへの意識の高まりから、プラントベース(植物性)ミルクの需要が増大している。日本豆乳協会によると、豆乳の生産量は2011年度から10年連続で過去最高を記録しており、市場はこの10年間で倍以上に拡大しているという。豆乳をはじめ、プラントベース食品の筆頭ともいえる大豆だが、新たに食品業界で注目を集めている食材が「ルパン豆」だ。
ルパン豆は、ルピニ豆やルーピン豆とも呼ばれる豆科の植物。原産である地中海沿岸地域では、料理の材料やスナックとして親しまれてきた。大豆よりも食物繊維が豊富で100gに対して1日に必要な量の3割も摂取できるという。9種類のアミノ酸をすべて含み、ビタミンやマグネシウムなどのミネラルも豊富だが炭水化物は非常に少ない。輪作ができるためサステナブルな作物といえる。
そうしたルパン豆を原料とした100%植物性のアイスクリームが2022年4月20日に発表された。イギリス最大のスーパーマーケット「Tesco(テスコ)」のヴィーガンブランド「Wicked Kitchen」のアイスクリームは、乳製品などを使用していないが、独自のブレンドにより乳製品を使ったアイスクリームに似た風味と口当たりを実現したという。イギリスの他にもアメリカのスーパーマーケット・チェーン「Kroger」の2,200軒の店舗やCity MarketやDillonsなどの提携店舗で購入することができる。
2022年4月現在、Wicked Kitchenアイスクリームの日本での販売予定情報はなく、ルパン豆も国内ではまだあまり馴染みのない食材だ。一方で、世界ではルパン豆を動物性タンパク質の代替食品として活用した商品が次々と発表されている。なかでも、今回のWicked Kitchenアイスクリームの大規模な販売展開は、世界のプラントベース食品業界に大きなインパクトを与えたと言えるのではないだろうか。今後、日本でもサステナブルな食材としてルパン豆が活用されることに期待したい。
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