ホテルや飲食店で働く人にとって、毎日着用するユニフォーム。ユニフォームを長時間着用していると、汗や日光による色あせや、洗濯による色落ち、漂白剤による色抜けなどが起きてしまう。機能的にはまだ使用できるユニフォームであっても、見た目の劣化が問題で新しいユニフォームに変えなければならないケースもあるだろう。
一方で、ユニフォームの交換頻度が多くなるほど、廃棄される衣類量の増加につながる。実際に、環境省が2020年12月から2021年3月にかけて実施した調査によると、ごみとして廃棄された衣類の95%が焼却・埋め立て処分されており、その量は年間で約48万トンにも及ぶ。
さらに、1着の衣類を製造する過程ではさまざまな資源が必要であり、環境にかかる負荷も大きい。持続可能な社会の実現に向けて、衣類の消費サイクルを循環型に転換するとともに、できるだけ長く着用できる工夫が必要だ。
こうしたなか、企業向けユニフォームの製造販売を行う「株式会社ダイイチ」は、自社ブランド「Re:first」のオリジナル商品第1弾として、色落ちせず環境にも優しいポロシャツを2023年6月より販売開始した。
今回、色落ちを防ぐために採用されたのが原着糸だ。原着糸とは、原料自体に耐久性の高い色材を練り込み、着色してから作られる糸のこと。糸の原料と色素が一体化した原着糸なら、従来の後染め生地と比べて、汗や光、摩擦、水などによる変色・退色が起こりにくい。また、一般的な後染めの工程と比較し、原着糸の場合は原料自体に着色をするため、製造過程において消費される水やCO2、電力、熱量といったエネルギーの削減を実現している。
【ポロシャツ1着あたりの製造エネルギー削減率】
- 水使用量:55.6%
- CO2排出量:54.8%
- 電力使用量:64.6%
- 熱量使用量:55.9%
同ブランドでは、環境に対する配慮はもちろん、ユニフォームの着心地や使い勝手にもこだわっており、生地の開発段階で試作を重ね、肌触りのなめらかなポロシャツに仕上げた。両サイドにはタオルやメモ帳、携帯電話などを収納できる大容量ポケット付き。さらに、生地だけでなくボタンも高温洗浄や長期着用でも割れにくい素材を使用している。
衣類ロスを削減するにあたって、製造方法の見直しや資源のリサイクルを進める一方で、1着を長く着るための取り組みも大切だ。買い替えの頻度が減ることで、備品のコスト削減にもつながるケースもあるだろう。職場でユニフォームを支給しているホテルや飲食店は、地球や従業員、お店にとっても優しい製品を積極的に導入してみてはどうだろうか。
【関連記事】
【参照サイト】 環境省_サステナブルファッション
【参照サイト】 「毎日洗っても色落ちせず、塩素にも強い耐久ポロシャツ」を企業向けユニフォームとして発売