その魚介類、本当に地元産?アメリカで問題視される「ローカルウォッシング」とは

ローカルウォッシング

魚介類は、世界で最も取引されている食材のひとつだ。なかでも近年、アメリカでは水産物の消費量が増加。そのニーズを満たすために輸入への依存度が高まっており、アメリカで販売される水産物の約80%が海外産だと推定されている。地元漁業者は、国産品よりも安価な輸入品と競争しなければならず、厳しい状況に置かれているといえるだろう。

一方で、魚介類のサプライチェーンが世界規模で複雑に絡み合っているうえに透明性に欠ける点も問題だ。当事者たるサプライヤーでさえ、漁獲された水産物が消費者の元へ届くまでのプロセス全体を把握できていないという。

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こうした状況では、たとえ魚介類の表示が偽装されていても見過ごしかねない。偽装表示の例としては、高品質の魚種を別の安価なものに置き換えたり、養殖魚を天然物として販売したりすることが挙げられる。実際に、2025年にFood Control誌に掲載された論文によると、アメリカにおける偽装表示率は全体の約39%だった。

魚の原産国表示は小売業者には義務づけられているものの、飲食店では規制が緩いことからグレーゾーンも少なからず存在する。特にエビやサーモン、ロブスターなど、見た目や味では判別が難しい魚介類は偽装されやすい傾向にあるようだ。なかには、レストランで「地元産」と称して使用されている魚が実は輸入魚だった、というケースも起きている。

そこで、消費者や仕入れに関わる者が信頼できる魚介類を選べるよう、いくつかポイントを押さえておきたい。

まず、魚市場で買い物をする際には産地や漁獲方法など詳しく質問し、表示の真偽を見極める視点が大切だ。また、商品のトレーサビリティ認証を確認するのもひとつの手段。例えばMSC認証なら、原産地と流通過程全体を追跡するシステムを導入している。さらに丸ごと1匹といったように、加工度の低い状態で魚介類を購入することで、類似した代替品を避けやすくなるだろう。そして地域の漁期や生息している魚種を学び、ニッチな魚を探し出すとともに可能な限り天然魚を優先すれば、「地元産」の選択肢はより一層広がる。

アメリカ魚ローカルウォッシング

地元で生産あるいは水揚げされた商品ではないにもかかわらず、あたかも「地元産」であるかのように見せかける「ローカルウォッシング」。

意図的な偽装行為が地域の産業や経済に及ぼす影響は大きい。とりわけ地元の生産者や地域経済を支援する「地産地消」の価値が損なわれ、真に持続可能な取り組みまで本質を疑われる事態に発展しかねない。だからこそ、飲食店をはじめとした消費サイドが商品の産地や流通経路に注意を払い、本当の「地元産」を選択することが重要といえるだろう。

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【参照サイト】A meta-analysis of seafood species mislabeling in the United States – ScienceDirect
【参照サイト】U.S. seafood imports exceeded exports by $20.3 billion in 2023 | Economic Research Service
【参照サイト】Think you’re eating local seafood? Beware of ‘local-washing’ – FoodPrint

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