ホテルやレストランでは、陶磁器は消耗品として認識され、ワレ・カケ・ヒビなどが発生した場合には廃棄されるのが現状だ。一方で、陶磁器の原材料である石や粘土などの天然資源は過剰な採掘により年々枯渇が進んでいる。一度購入した食器を、大切に長く使うことは、「廃棄による環境負荷の低減」と「限られた資源を大切にする」というサスティナビリティにつながる。最近では、食器のレンタルやリペアサブスクなど、資源を循環させるサーキュラー型のサービスが誕生し、注目を集めている。

そうしたなか、飲食業務用品の販売などを手掛ける京橋白木株式会社は、2022年1月10日より、アフターコロナのレストラン・ホテル支援として、事業者に対し日本の伝統技術である「金継ぎ」の無償提供を開始した。初回となる今回は、応募期間を2022年1月10日〜2月1日とし、抽選で対象事業者10社を決定する。

業務用陶磁器流通において「金継ぎ」によるアップサイクルサービスを提供するのは、国内初の事例だ。「金継ぎ」を施すことで、ワレ・カケ・ヒビなどが発生した器を再生し、継続して利用できるようになる。また、「金継ぎ」によって新たな魅力が付加されるため、美観と実用性の両立が可能だ。事業者や店舗は器をリユースすることによって、廃棄物を削減できる上、SDGs指標12の「つくる責任・つかう責任」の取り組みを、対外的に自社の姿勢として発信することができる。

京橋白木は、1896年(明治29年)創業の専門商社だ。創業時に当たり前に行われていた「もったいない精神」を現代にアップデートして、飲食業界全体のサーキュラーエコノミーを牽引するため、この取り組みを推進していくという。「金継ぎ」を無償提供するのは今回限りで、今後はサーキュラーエコノミーに取り組むホテル・レストラン100社での採用を初年度で見込んでいる。

金継ぎは海外でもそのまま「KINTSUGI」と呼ばれるなど、国内外で価値が見直されている。一方で、高額で導入が難しいと感じたり、関心があっても職人につてがなく、どうしていいかわからないという人も多いだろう。飲食店と職人を繋ぐ京橋白木の取り組みに、今後も注目したい。

【参照サイト】アフターコロナのレストラン・ホテルを支援、器に持続可能な循環をもたらす日本の伝統技術「金継ぎ」を無償提供

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