近年、気候変動による自然災害などの影響が、私たちの生活にも影響を与えていることから、気候変動への危機感は高まっている。環境負荷を抑える具体策のひとつとして、注目されているのが食品ロス(フードロス)削減だ。農林水産省及び環境省(2019年推計)によると、日本では年間570万トンものフードロスが発生しており、それらは資源の浪費であることはもちろん、廃棄の過程で温室効果ガスを排出している。

食品事業者は廃棄を可能な限り減らす工夫に努め、生産の段階から需要予測を立てるなどの企業努力を行うも、近年の予測不可能な気象災害により在庫が滞留することが問題になっている。

そうしたなか、社会貢献型ショッピングサイト「KURADASHI」を運営する株式会社クラダシが、アースディである4月22日、食品事業者を対象に「SDGs」「フードロス」に関する意識調査を実施した。

KURADASHI」は、日本初かつ最大級の社会貢献型ショッピングサイト。賞味期限間近や規格外など様々な理由でまだ食べられるのに廃棄される食品を、メーカーなどから協賛価格で提供を受け、最大97%で消費者へと販売。また購入金額の一部を環境保護や動物保護の団体、クラダシ基金などに充て、様々な団体を支援している。

意識調査アンケートの結果、「SDGs推進に取り組むことは、企業経営における重要事項と捉えているか」という質問では、全体の97%以上が「重要だと思う」と回答していた一方で、実際に取り組みを行っているのは67.6%と、約30%の乖離が見られた。

(左図)Q.貴社では、SDGs推進に取り組むことは、企業経営における重要事項と捉えていますか。
(右図)Q.貴社では、SDGs目標達成に向けた取り組みを行っていますか。

「実際に行っているSDGs目標達成に向けた取り組みは、SDGs17の目標のどの項目に当てはまるか」という質問では、「12. つくる責任 つかう責任」が約半数の49%と最も多く、次に「8. 働きがいも経済成長も」が33.3%という結果に。対象の食品事業者にとっては、フードロス対策や商品パッケージのリサイクルなど、関連する内容が多く含まれることも「12. つくる責任 つかう責任」が最も多い理由だと推測される。

Q.貴社が行っているSDGs目標達成に向けた取り組みは、以下のSDGs目標のどの項目に当てはまりますか。

また、フードロス削減への取り組みを「行っている」と回答したのは84.3%。そのための具体策として、「KURADASHI」などを利用して再流通させる」と回答した企業は85.3%、次いで「値引きして販売する」、「生産量を調整する」と続く。同時に「貴社では、SDGs目標達成に向けた取り組みを行っていますか」という問いに対して、「行っている」は67.6%と、「フードロス削減を行っている」という回答を約16%下回っている。食品事業者の一部では、フードロス削減がSDGsの一環だと認識されていないのかもしれない。

Q.貴社では、フードロス削減のためにどのような取り組みを行っていますか。

フードロスに対して、食品事業者の意識が高まっているのは明らかになった。同時にフードロス削減を何のために行うのかなど、目指す世界を共有しより浸透させることで、さらなる対策や可能性が見えてくるはずだ。また「KURADASHI」のような取り組みが広まれば、企業側にとってだけでなく消費者にとってもより簡単に、持続可能な食生活の実現が期待できるだろう。

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【参照サイト】 クラダシが食品事業者を対象に「SDGsに関するアンケート」を実施
【参照サイト】 農林水産省「~食品ロス量(令和元年度推計値)を公表~」

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