世界で人道や環境に関する問題が深刻化するなか、各国の政府だけでなく、企業にも解決に向けた努力が求められている。民間企業が持続可能な社会を目指して行動することで、エンドユーザーである消費者の意識をよりサステナブルな方向へ誘導できるだろう。
実際に、2024年3月に実施された「サステナビリティを重視する企業・ブランドの、商品興味・関心への影響度」についての調査によると、商品への興味・関心に「とても影響する」「やや影響する」と回答した人は全体の4割近くを占めた。企業にとって、サステナビリティ活動は環境や社会への貢献であると同時に、消費者に自社の商品を選んでもらうための重要な要素でもあることがわかる。
そうしたなか「株式会社コメダ」が“廃棄物削減”と“地域貢献”、“動物福祉(アニマルウェルフェア)”にもつながるユニークな取り組みを発表した。
全国にフルサービス型の喫茶店を展開する同社は2024年4月11日、コーヒー豆の仕入れに使われる麻袋を「名古屋市東山動植物園」に寄贈した。今後、年間を通じて400枚の寄贈を予定しているという。
株式会社コメダでは、世界中からコーヒーの生豆を運搬する際に麻袋を使用。年間で約1.9万枚発生する使用済みの麻袋は、これまで焼却処分されていた。その麻袋を再利用する方法について検討していたところ、名古屋市が運営する東山動植物園での活用事例を知ったという。東山動植物園では、動物たちを飼育するにあたり、麻袋を遊び道具や巣づくりの材料などさまざまな用途に活かしている。特にゴリラやチンパンジーは、麻袋を引き裂いてストレスを解消することもあるそうだ。
こうした背景から、同社による麻袋の寄贈は、廃棄物を削減するのはもちろん、動物愛護にもつながるといえる。
また、東山動植物園のある名古屋市は、株式会社コメダ発祥の地だ。今回のように、企業が地元の公共施設を積極的にサポートすれば、地域活性化にも貢献できるだろう。
同社サステナビリティ推進部の担当者はプレスリリースのなかで「これまで廃棄していた資源の再利用ができるとともに、当社発祥の地である名古屋で多くの方に親しまれている東山動植物園さまへの寄贈が実現し、とても嬉しく思います。今後は全国の施設への寄贈も視野に入れ、『心にもっとくつろぎを』感じていただける取り組みとして、活動を継続してまいります。」とコメントしている。
一方、東山動植物園でも、SDGsの目標達成に向けて多様な取り組みを実施。株式会社コメダの寄贈を受け入れることで、SDGsのゴール15「陸の豊かさも守ろう」やゴール17「パートナーシップで目標を達成しよう」にアプローチしている。
サステナビリティを重視する企業や公共施設に対して、消費者の利用機会が増えれば、サーキュラーエコノミーの構築を促進できるだろう。飲食店やホテルでも、地域産業と連携しながらサステナブルなサービスを考案してはどうだろうか。
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【参照サイト】 KOMEDA COMES TRUE.
【参照サイト】 東山動植物園のSDGsへの取組|東山動植物園