CO2の排出量をプラス、吸収量をマイナスとして実質ゼロの状態になることを指す「カーボンニュートラル」。2020年10月に菅元首相が「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言したことで、世間でも広く認知された。
消費者の環境意識の向上は世論調査の結果にも現れており、2021年3月19日に内閣府が公開した「気候変動に関わる世論調査」では、“「脱炭素社会」の実現に向け、一人一人が二酸化炭素などの排出を減らす取組について、どのように考えるか”という質問に対し、「取り組みたい」と回答した人は91.9%にのぼった。
そうしたなか、大手食品メーカーの「キユーピー株式会社」は、2022年12月より同社の西日本最大の調味料生産拠点である神戸工場で使用する電力を実質再生可能エネルギー由来100%に切り替えたと2022年12月15日に発表した。
今回の取り組みは「関西電力株式会社」が提供する再生可能エネルギーでの電力供給と、「三井物産株式会社」が発行するJ-クレジットの購入によって実現した。
J-クレジットとは、事業者が取り組む再エネ導入や省エネ機器導入、森林管理などの活動による温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として、国(経済産業省、環境省、農林水産省)が認証する制度のこと。創出されたクレジットを購入することで、企業などの活動の中でどんなに努力をしても発生してしまうCO2(=カーボン)を、他の場所での活動により削減・吸収された分で埋め合わせ(=オフセット)することができる。こうした考え方や活動は「カーボンオフセット」と呼ばれている。
2012年から自家発電に取り組んできたキユーピー株式会社は、2022年8月時点で国内13拠点に太陽光パネルを設置している。2月より、そのうち3拠点で発電した電力を渋谷本社および仙川キユーポートの使用電力に振替え、渋谷本社と仙川キユーポートの使用電力を実質再生可能エネルギー由来100%にすることに成功。2023年2月には、新たに2拠点への太陽光パネルの設置を予定している。
「2030年度までに2013年度比でCO2排出量削減率50%以上の達成」を掲げるキユーピーグループ。大手企業が積極的に取り組みを推進し、発信することで食品業界の風向きも変わってくるかもしれない。飲食店としても、こうした活動に積極的に取り組む企業の商品を使用することで、カーボンニュートラルの実現に貢献できるのではないだろうか。
【参照サイト】キユーピーグループ初のCO2ネットゼロ工場が実現 キユーピー神戸工場における使用電力を2022年12月から実質再生可能エネルギー由来100%へ切り替え
【参照サイト】内閣府:気候変動に関する世論調査
【参照サイト】「J-クレジットによるカーボン・オフセット付きリース」取り扱い開始について
【参照サイト】1925年から卵の研究は始まりました。今もさまざまな研究を続けています。市販用たまご商品『キユーピーのたまご』ブランドムービーを制作。キユーピーグループで使用している卵は100%有効活用されています。
【参照サイト】【研究報告】マヨネーズは製造後にコクがアップすることを科学的に証明。卵黄が多いほどコクがアップ。