ホテルや旅館などの宿泊施設を利用する消費者のニーズは、もはや滞在中の快適さだけに留まらないようだ。
2022年に公開されたホテル旅館に関する旅行者の意識調査によると、全体の71.1%が環境に配慮しているホテル旅館に対して「印象が良い」と回答。また、年に6〜10回以上旅行に訪れるリピーター層では地球に配慮した消費活動である“エシカル消費”を「とても意識している」「意識している」人は約74.7%に及び、環境への意識の高さが伺える。一方、リピーター層の約69.2%が宿の選定基準として「ホスピタリティ」を重視しており、細やかで充実したサービスの提供も欠かせないといえる。
しかし、ホテルの取り組みが消費者に認知されていなかったり、サービスの品質低下を疑われたりと、ホスピタリティとサステナビリティの両立には少なからず課題もあるだろう。

そうしたなか、京王プラザホテルを運営する「株式会社京王プラザホテル」は、2025年11月12日に公益財団法人日本環境協会が主催する表彰制度「エコマークアワード2025」の最高位である「最優秀賞」を受賞した。エコマークアワード史上、ホテル業界としては2番目、また2017年に最高位の呼称が「最優秀賞」に変更されてからは初めての最高位受賞となる。
そもそもエコマークとは、ライフサイクル全体で環境負荷が少ないと認められた製品・サービスの目印だ。認定対象はモノだけでなくスーパーマーケットやホテル、レストランなどのサービスなど、多岐にわたる。
2010年には、実施主体の公益財団法人日本環境協会がエコマークアワードを創設。年に1度、エコマーク事業の目的である「消費者の環境を意識した商品選択、企業の環境改善努力による、持続可能な社会の形成」に向けて積極的に活動している企業・団体などを表彰する。

京王プラザホテルは、1971年に日本初の超高層ホテルとして新宿に開業。時代の変化に応じて事業を展開しながら、サステナビリティを重視した活動にも注力してきた。例えば排水や廃油の再利用、プラスチックや温室効果ガス排出の削減といった環境対策が評価され、新宿と八王子の2ホテルでエコマーク「ホテル・旅館」を取得している。
今回、同ホテルが「エコマークアワード2025」の最優秀賞に選出された理由は、環境への多角的な取り組みにある。ここからは、受賞に繋がった取り組みの一例を詳しく見ていきたい。
1つ目は、SDGsの取り組みをより一層発展させるための全社横断的な体制づくり。2024年6月に新設された「SDGs推進」という部署を事務局に、全社横断で組織した「SDGs推進委員会」を中心に据え、具体的な課題には分科会を設置して取り組んでいる。
さらに、2025年3月にはロゴとSDGsに関するコミットメント「PLAZA Promise~サステナブルな未来に向けて~」を策定。現場で働く従業員の意識を統一し、SDGsとサービスを結び付けようとしている。

ドリップ後のコーヒー豆を使用した「サニーカフェ」<カクテル&ティーラウンジ>で提供
2つ目は、社会課題となっている食品ロスの削減だ。京王プラザホテル内の中国料理<南園(なんえん)>と宴会場の一部を対象に、食べきれなかった料理を持ち帰って食品ロス削減を目指す「mottECO(モッテコ)」の取り組みを実施。持ち帰り用の容器も、環境に配慮したFSC®認証製品を採用しているという。
このほかにも、苦みの少ないドリップ後のコーヒー豆を自家製のコーヒーシロップにアップサイクルし、バー・ラウンジで提供するカクテルやソフトドリンクに使用している。フードブティック<ポピンズ>では、ホテルで長年愛されている焼き菓子「コペンハーゲナー」の製造過程で生じる切れ端を活かして「The Edges of Kopenhagener」として販売。こちらはホテルで働く従業員のアイデアから生まれた商品だ。
また、選別工程で規格外となったバナナのうちまだおいしく食べられる「もったいないバナナ」をドリンクやアイスクリーム、焼き菓子に活用して救出。こうした「もったいない」を「美味しい」に転換させるユニークな工夫は、利用者にサステナブルな取り組みへ関心を持ってもらうのに効果的だろう。
3つ目となる不要衣類の回収ボックスの設置は、従業員が部屋に置いていかれた宿泊客の衣類に着目したことから始まった取り組みだ。
京王プラザホテルと「株式会社FASHION X」が共創し、2025年2月よりホテルとしては全国初となるFASHION Xの古着回収ボックスを導入。現在、本館47階のSKY PLAZA IBASHOと本館・南館の各ランドリールームに設置されている。回収した古着はリサイクル品としてさまざまな用途に転用されるほか、リユースやアップサイクルを図るなかで、環境への負荷軽減と循環型社会の推進に寄与している。
実はこの取り組みで提携した株式会社FASHION Xは、京王電鉄株式会社が2023年度に実施したKEIO AREA OPEN INNOVATION PROGRAM「ROOOT(ルート)」の採択企業のひとつ。これは、外部パートナーとの共創により地域の課題解決や沿線の価値創出を目指す、エリア起点の事業共創プログラムだ。新たな事業やサービスを生み出すにあたって、業界の垣根を超えたつながりも重要な要素だといえる。

古着回収ボックス
エコマークアワードのように、サステナブルな取り組みを第三者の視点から見つめ、評価を受けることは、企業の取り組みが持つ意義を社会全体へ発信する大きなきっかけとなる。アワードへのエントリーには、準備や情報整理などさまざまなハードルがあるものの、それを乗り越えて挑戦する価値は十分にあると言えるだろう。
今後も、新たな挑戦を重ねながら、幅広い取り組みを形にしていく京王プラザホテルの今後の取り組みに、大いに期待したい。
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【参照サイト】SDGsへの取り組み|京王プラザホテル(新宿)【公式】
【参照サイト】京王オープンイノベーション | 京王の取り組み
【参照サイト】エコマークアワード2025|エコマーク事務局




















































