近年、世界中で拡大が続くプラントベース(植物性)食品市場。最新のデータによると、アメリカにおけるプラントベース食品の小売販売額は増加し続けており、2021年には、過去最高だった2020年の伸びを上回る6.2%増を記録し、市場総額は74億ドルにも達することが分かっているという。アメリカで普及しているプラントベース食品のなかでも、「ヴィーガン卵」の売り上げは過去3年間で、1,000%以上増加しているという。
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そうしたアメリカのヴィーガン卵市場の99%以上を占めているのが、サンフランシスコに本社を置くEat Justの展開する「JUST Egg」だ。2022年4月5日、同社は、JUST Eggの主要原料が欧州委員会の承認を取得したことを発表した。この決定により、EUおよび欧州自由貿易連合に属する国々の市場に参入することが可能になる。
Eat Just社の共同設立者兼CEOのJosh Tetrick氏はプレスリリースのなかで「健康や気候変動、アニマルウェルフェアなどの観点から、小売店や飲食店からの関心も高く、需要は非常に大きいものでした。今回の欧州委員会の承認により、年内にヨーロッパ全土で販売を開始する道が開かれたことに感謝しています。」と述べている。
JUST Eggは、見た目や調理法や味も鶏卵に似たヴィーガン卵で、緑豆(りょくとう)のタンパク質から作られている。緑豆は、日本では主にもやしの種子として利用されており、ムング豆・青小豆(あおあずき)、八重生(やえなり)、文豆(ぶんどう)とも呼ばれている豆の一種だ。今回の欧州委員会の承認は、「緑豆タンパク質は欧州食品安全機関(EFSA)による新規食品要件に照らして安全である」との判断に基づいている。
近年、一羽当たりの面積が極めて狭いケージ内で採卵鶏を飼育する一般的な飼養方法がアニマルウェルフェアの考え方に反しているという考えが世界的に広まりつつある。スイス、スウェーデン、フィンランド、ドイツなど、すでにケージ型の飼育方法を法律で禁止している国もある。
日本卵業協会によると、2019年度の日本人一人当たりの年間鶏卵消費量は約337個にものぼり、メキシコに次いで世界で2番目に多いという。例えヴィーガンではなくても、多くの卵を消費する日本人だからこそ、アニマルウェルフェアにも配慮された新しい食材についても知っておくべきではないだろうか。
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【参照サイト】 European Commission Approves JUST Egg’s Key Ingredient as Plant-Based Brand Plans Fourth Quarter Launch
【参照サイト】 Just Egg
【参照サイト】 2021 U.S. RETAIL SALES DATA FOR THE PLANT-BASED FOODS INDUSTRY
【参照サイト】 European Food Safty Authority
【参照サイト】 日本卵業協会:鶏卵関係資料の集計表