今、日本の17歳以下のこどものうち、7人に1人は貧困状態にあるという。飽食の時代とも言われる現代の日本で、にわかには信じがたい数字かもしれない。近年、広がりを見せている「子ども食堂」は、そうした子どもたちへ温かい食事や居場所を提供する社会活動のひとつだ。
2022年8月9日、電化製品のブランドとして知られ、食品や飲料も展開する「アイリスオーヤマ株式会社」は、「認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ」を通じて「子ども食堂」への支援開始を発表した。
子どもの貧困率は1980年代から上昇傾向にあり、最新のデータでは14%(OECD加盟国調べ)となっている。ここで言う貧困とは衣食住に困る「絶対的貧困」とは異なる、相対的貧困のことを指す。
子ども食堂はこうした状況を解決するための活動・取り組みとして、栄養のある食事や温かな団らんを無料または安価で提供している。家庭での団らんが難しく孤食が習慣となりつつある、また満足に食べられない子どもたちに向けて食事の機会と場の提供をすることが目的だ。子どもひとりで入店できる場所がある意味は大きく、食育や地域の人との交流の場として「食事の場所」を越えた役割がある。その数は年々増加し、2021年時点で6,014ヶ所に達している。
また子ども食堂は多くの場合、食料の調達は市民からの募金や企業からの協賛金、また現物寄付によって賄われているため、食堂では無料もしくは安価にて温かい料理を提供できている。
様々な施設・団体と連携を行う子ども食堂は、フードロス対策との接点が大きい。
まだ食べられるのに多少の傷があるなどの理由で廃棄される食品を、減らしていく社会的な風潮が高まるなか、そうした食材が子ども食堂に寄付されるケースも増えている。
アイリスグループは、貧困対策としてこども食堂の運営に貢献することとし、同社が製造販売する食品・飲料を、むすびえを通じて毎月各こども食堂へ配布するという。まずは、宮城県内各施設への配布から支援を開始し、将来的に全国の工場立地地域への配布を目指している。
【内容】
寄贈先:宮城県内各こども食堂(初月:県内32ヶ所)
寄贈頻度:毎月1回発送
寄贈品:精米、餅、天然水、炭酸水、ドライフルーツ等(月により変動)
寄贈点数・金額:約4,500点、売価約100万円分(月により変動)
アイリスグループは、今後もこどもの健やかな成長を支援するとともに、SDGs達成に向けて貢献していくと言う。アイリスグループのような大手企業が参入することで、子ども食堂への支援やフードロス対策を中心としたSDGsの取り組みにも注目が集まりそうだ。
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