SDGsやサステナブルという言葉が聞かれて久しい。昨今では、企業に求められる対応のヒントを探るために、生活者の日々の行動や商品購買への「SDGsの影響」を知っておくことは必須事項だといえる。
そうしたなか、マーケティングリサーチを行う株式会社インテージは、2020年から継続的に実施しているSDGsに関する調査の分析結果を、2022年2月24日に公開した。
調査の結果、この1年でサステナブルな行動を「先導する」層と「積極的にする」層が4ポイント増加していることがわかった。SDGs認知率が2年間で約3倍となる約8割に達し、内容理解や共感は今後も進むことが想定されることから、この層はさらに増えていくことが予想されるという。
また、生活者のサステナブルな行動には世代間の差があるものの、全体としては食に関する項目の実施率が高いこともわかった。「食材は地元産のものを選ぶ」「添加物や保存料を使わない食品を選ぶ」といった日々の食に関するサステナブル行動を特に意識している傾向は、年配層の女性に顕著にみられた。理由としては、在宅率や自炊率が他の世代より高いことや、年齢とともに高まる健康意識が挙げられる。
また、10代・20代、50代・60代に比べ、30代・40代が低いU字型の傾向にある行動は「リサイクル素材を使って作られた商品を選ぶ」「エコマークがついた商品を選ぶ」「社会的格差の解消を助ける、フェアトレード商品を選ぶ」などだ。これらの行動の背景として、若年層では学校教育の影響もあり「自分の行動でよりよい社会や環境に変えていく」という想いが他の世代より強いことがある。また、他の世代に比べ時間的・金銭的余裕があることも影響しているようだ。
そして注目すべきは、SDGs認知者の約53%が「SDGsに取組む企業を応援したい」、約45%が「SDGs関連商品・サービスを購入・利用したい」と回答している点だ。このことからSDGsが生活者と企業との関係性構築や、マーケティング活動と切り離せない要素となってきていることがうかがえる。
レストランやホテル業界においても、投資家向けが中心だったESG活動を、生活者へ向けてSDGsの取り組みとして発信し、社会や環境に貢献するステージへと変革する時期を迎えているのではないだろうか。またSDGs関連の商品・サービス戦略の立案にあたっては、生活者をひと括りにせず、世代別のマーケティング戦略が必要といえそうだ。
【参照サイト】 SDGs認知者、「取り組む企業応援したい」は53%