約14億人以上の人口を擁するインドは、ベジタリアンの比率も世界最大といわれている。その背景には、ヒンドゥー教やジャイナ教といった宗教の教えに影響を受け、独自の食文化を形成してきた歴史がある。
また、インドでは「食品安全基準法(Food Safety and Standards Regulations)」に基づき、インド食品安全基準局(Food Safety and Standards Authority of India:FSSAI)が食品の規格や衛生管理を管轄。特にベジタリアンについては、全ての食品包装にベジタリアン対応を意味する緑のドットか、非ベジタリアンである茶色のドットを表示することが「食品表示規制(FSSAI規定)」で義務付けられている。
消費者にとって、ベジタリアン食品かそうでないかをひと目で識別できるマークは便利であり、安心材料でもあるだろう。
また、ベジタリアンとひと言で言ってもその種類は細かく分かれており、インドでは肉・魚・卵は避けるが乳製品は摂取するラクト・ベジタリアンが一般的とされている。一方で近年、健康や環境への配慮、動物福祉の観点から、乳製品を含む全ての動物性食品を避けるヴィーガンの考え方も拡大傾向にある。ヴィーガン食品の市場は2025年に17.8億ドルに達し、2032年までに32.8億ドルまで成長する見通しだという。
そうしたなか、インド食品安全基準局が2026年5月21日付のインド官報を通じて「食品安全基準(ヴィーガン食品)改正規則2026」を交付。既存の「食品安全基準(ヴィーガン食品)規則2022」第4条(2)項を改正し、国内で販売される承認済みのヴィーガン食品全てに統一基準による緑色のロゴの表示を義務化すると発表した。この改正規則は、2027年7月1日から施行される。
そもそもインド食品安全基準局は、「食品安全基準(ヴィーガン食品)規則2022」においてヴィーガン食品の定義を明文化し、製造販売や輸入に関する規制の枠組みを制定した。併せて新たにヴィーガンロゴも導入したのだが、実際の市場で十分に浸透しているとは言い難い状況だ。
ヴィーガンロゴは緑色の四角い枠に囲まれたデザインで、アルファベットの「V」と芽吹いた葉のイラストが描かれ、下部には「VEGAN」という文字が表記されている。今回の改正案によりロゴの寸法や色の値が厳密に規定され、製造業者によるばらつきは一切認められない。また、食品事業者はパッケージにロゴを表示する前段階で、インド食品安全基準局の承認を得ることが求められる。従ってヴィーガン食品を取り扱う関連事業者は、施行日までにパッケージデザインの見直しおよび更新、承認の手続きを完了させる必要がある。

急速に拡大するヴィーガン市場において安全性を確保するには、統一されたロゴを導入・運用することも有効な対策の一つだ。政府公認の識別マークが明確に表示されれば、消費者に誤解を与える食品表示を減らせるだけでなく、ヴィーガン食品業界全体に対する監視や基準の運用も強化できる。また、消費者は原材料を一つひとつ確認する手間なく安心して商品を選べるようになり、ヴィーガン食品への信頼向上にもつながる。
食の多様化が進む日本においても、誰もがわかりやすく、安心して商品を選べる食品表示の重要性は、今後ますます高まっていくだろう。
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【参照サイト】India to Require Standardized Vegan Logo on Food Packaging from 2027
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