新型コロナウイルス感染拡大の影響で、消費者の意識にサステナブルな変化が現れている。2020年10月の意識調査によると、コロナ禍を機に、買い物をする際に意識や行動が変わった人は「非常に変わった」「ある程度変わった」を合わせると66.8%にのぼったという。具体的には「できるだけ国産のものや地元産のものを選んで買うようになった」「環境に配慮した商品やサービスを選ぶようになった」など、サステナブルな消費行動を選ぶ回答が上位にあがった。
こうした消費者の意識変化を一過性のものとしないために、社会全体でサステナブルな取り組みを進める必要がある。例えば食品業界や飲食店では、まだ食べられるにもかかわらず廃棄されてしまう食品ロスへの対策が挙げられるだろう。
そうしたなか、秋田名産の稲庭うどんを製造販売する「株式会社稲庭うどん小川」は「株式会社羽後麦酒」と共同し、稲庭うどんから生まれたクラフトビール「INANIWA HAPPOUSHU – 稲庭発泡酒」を2023年7月26日に発売した。多数のメディアに取り上げられたことで、秋田県内だけでなく全国からも注目され、初回生産分300本は約2週間で完売。今回、2023年10月20日より限定600本の再販が決定し、羽後麦酒オンラインショップにて取り扱われる。
INANIWA HAPPOUSHUは、食品ロス削減を目指して新たに開発された、秋田県のご当地エール。稲庭うどんの製造工程で生じる3㎝ほどの切れ端を副原料に使用しており、素材由来のほのかな塩味が特徴だ。
INANIWA HAPPOUSHUを手がける株式会社稲庭うどん小川は、2021年よりTENOBE INOVATIONプロジェクトを開始し、さまざまな挑戦に取り組んできた。プロジェクトを通じて、稲庭うどんの伝統を守りながら進化し続ける革新的なブランドであることを発信している。
このINANIWA HAPPOUSHUの開発製造は、「TENOBE INOVATIONプロジェクト」の第4弾にあたる。
第1弾では、39年ぶりにパッケージデザインをリニューアルして「こだわりの小川製法」をPRした。続く第2弾で、化学調味料や保存料を使用しない「稲庭うどん専用めんつゆ」を発売。そして第3弾では、稲庭うどんの輸出拡大に向けて、産学官連携によるフランスでの市場調査を行った。
さらに第5弾として植物由来の出汁つゆも商品化し、2023年10月17日よりクラウドファンディングを実施している。同社は、こうしたフードダイバーシティの側面でもサステナビリティの推進に注力しているといえるだろう。
農林水産省は、2020年度の食品ロス量推計値が522万トンで、前年度より48万トン減少したと公表した。しかし、食品ロスの問題は、SDGsの目標を達成するにあたっていまだ大きな課題だ。
飲食店がこのユニークな「うどんから生まれたクラフトビール」を採用することで、食品ロス削減に貢献できるだけでなく、お客さまに食品ロスについて考えてもらうきっかけづくりにもなりそうだ。
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