障害者の企業就労を。雇用支援サービス「IBUKI」がハーブ栽培などで200名以上を雇用

「地球上の誰一人取り残さない」ことを誓い、国連総会で採択されたSDGs。内閣府の公開している2021年の「障害者白書」によると、日本の障害者の人数は身体障害者が436万人、知的障害者が109万4千人、精神障害者が419万3千人。重複障害の人もいるため単純な合計にはならないものの、国民の7.6%が何らかの障害のあるという計算になるという。

一方、2021年6月の厚生労働省の障害者雇用状況調査によると、雇用障害者数、実雇用率ともに過去最高を更新しているものの、「常時雇用する従業員の一定割合を2.3%とする」法定雇用率を達成している企業の割合は47.0%と低い数字に留まっている。さらにコロナ禍の影響もあり、前年に比べて1.6ポイント低下しているという。

出典:厚生労働省/令和3年6月1日現在における障害者の雇用状況 ※[ ]内は実人員。

こうした障害者の雇用問題を改善するため、障害者雇用に関するコンサルティングを行う「株式会社スタートライン」は、屋内農園型障害者雇用支援サービス「IBUKI」の19拠点目となる「IBUKI SAGAMINO FARM」を、2022年5月2日に神奈川県海老名市に開設することを発表した。

IBUKIは、障害者の福祉的就労ではなく、企業就労としてハーブや野菜などの栽培を行う障害者雇用支援サービスだ。利用企業は屋内型農園であるIBUKI施設内に企業ごとの拠点を構え、障害者を直接雇用することができる。農園は屋内にあるため天候の影響を受けにくく、設備・環境を整えやすい。それぞれの企業では、栽培したハーブティーをオフィスやショールームで提供したり、無農薬野菜を使った食事を社員食堂で振る舞ったり、入浴剤やキャンドルなどに加工し福利厚生として配布するなど、さまざまな形で収穫物を活用している。

IBUKIの施設には、障害者雇用支援のプロフェッショナルであるスタッフが常駐し、ABA(応用行動分析)と第三世代の認知行動療法の一つであるACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)に基づいた支援技術と、これまでの障害者支援で培ったノウハウや実績を用いて、科学的根拠に基づく効果的な支援を行う。

スタートラインの障害者雇用支援サービスは、2022年4月までに関東を中心に150社を超える企業が利用。900名以上の障害者の雇用を創出している。海老名市へのIBUKI開設は今回で4拠点目。海老名市で200名を超え、神奈川県全体では約500名の雇用を創出しているという。

厚生労働省では2021年3月に改正された障害者雇用率制度に関する公式サイトで「障害に関係なく希望や能力に応じて、誰もが職業を通じた社会参加のできる、共生社会実現の理念のもと、すべての事業主には法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務がある」としている。多様性を認め、支え合う社会を実現するためには、雇用する企業だけでなく、消費者を含めた社会全体で取り組まなくてはならない課題と言えるだろう。同時に、飲食店やホテルとして、IBUKIのハーブや野菜を使うことで生産地や生産者の見える食材の安定的な調達が実現する。こうした取り組みは、サスティナビリティと経営の両面でメリットとなるのではないだろうか。

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【参照サイト】 多様化時代を拓く障害者雇用支援サービス「IBUKI」、海老名市に4拠点目を開設し200名を超える雇用を創出
【参照サイト】 内閣府:令和3年版 障害者白書
【参照サイト】 厚生労働省:令和3年 障害者雇用状況の集計結果
【参照サイト】 厚生労働省:令和3年3月1日から 障害者の法定雇用率が引き上げになります

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