水素で調理した牡蠣をG7で提供。各国の政府・報道関係者へ調理シーンを公開

近年、脱炭素社会の実現を目指し、カーボンニュートラルへの取り組みが進んでいる。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出を実質ゼロの状態にすることだ。

日本政府は、2020年10月に「2050年までのカーボンニュートラル達成」を宣言。この目標に向けて経済産業省が策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」では、産業政策・エネルギー政策の両面から成長が期待される14の重要分野に関して、実行計画が立てられた。また、政府が重視するエネルギー産業の分野には、自然エネルギーや原子力だけでなく水素エネルギーが挙げられている。

水素調理 G7

 

そうしたなか、水素の利活用コンサルティング、および水素調理器具の製造販売を行う「株式会社H2&DX社会研究所」は、「鍋釜用水素コンロ」のプロトタイプを開発。2023年5月18日から21日にかけて広島市で開催されたG7サミット(主要国首脳会議)において、実際の調理シーンを公開した。

鍋釜用水素コンロと直火焼きタイプの水素コンロを併用して、広島県産の牡蠣を調理。サステナブルな料理が各国の報道関係者や政府関係者に振る舞われた。

株式会社H2&DX社会研究所では水素の可能性に注目。2023年9月には、水素ガスを直接燃焼させて調理する「水素コンロ」を、世界で初めて販売開始。水素調理では食材に燃料の匂いが付着せず、外側はカリッと、内側はジューシーに焼き上げられる。そして何よりも、水素の燃焼時には二酸化炭素が発生しないという点が、サステナブルな特徴だ。今回のG7で水素コンロと併用された「鍋釜用水素コンロ」の正式な販売は、2024年3月を予定しているという。

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サステナブルな料理が各国の報道関係者や政府関係者に振る舞われたことで、日本の技術力と特産品の国際的なPRにもつながっただろう。

今後、水素調理器具のバリエーションが増えれば、温室効果ガスを多く排出するフードシステムにおいてもカーボンニュートラルを達成しやすくなる。さらに、水素調理は食材本来の旨みを引き出せるところが、飲食店にとって大きな魅力だ。当たり前のように使っている電気やガスの調理器だが、今後は水素調理器が選択肢のひとつに加わることになるかもしれない。

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【参照サイト】 H2&DX、鍋釜用水素コンロを開発し、G7広島サミットにて牡蠣蒸しを提供
【参照サイト】 2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略 (METI/経済産業省)

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