SDGs(持続可能な開発目標)の14番目の目標「海の豊かさを守ろう」の中には、海洋および沿岸の生態系の回復の為に取り組みを行うことが掲げられている。国際自然保護連合(IUCN)によると、地球上の38,500種以上の生物が、絶滅のおそれのある野生生物の種の一覧であるレッドリストに掲載されている。中でも、ウミガメは世界中に生息する種の全てがレッドリストに掲載されており、日本を含む各国で保護に向けての取り組みが行われている。
そうしたなか、バリ島ヌサドゥア地区に位置する「ホテル・ニッコー・バリ ベノア ビーチ」では、2021年8月27日に環境保護活動の一環として、ウミガメの赤ちゃん99匹を放流する活動を行なった。
8月12日の早朝、ホテル前のタンジュンベノアビーチでホテルのスタッフがウミガメの卵118個を発見。孵化するまでの間、外敵から守るため24時間体制で監視を行なったという。
通常、孵化するまで45日かかるところ、予定よりも早い8月26日に99匹の赤ちゃんが孵化。その翌日、天然資源保護局(BKSDA)職員の立ち会いのもと、ホテル宿泊客や地元住民とともにウミガメの赤ちゃんをホテル前のビーチに放流したという。
ホテル・ニッコー・バリ べノア ビーチ、総支配人の長谷部昌也氏はプレスリリースの中で、今回の放流について、「ウミガメは絶滅危惧種に指定されており、捕獲は法的に禁止されています。ホテルを運営するうえで、サステナブル(持続可能)な自然との共生が不可欠であり、バリ島の環境保全は私どもの社会的責任です。ホテル・ニッコー・バリ ベノア ビーチでは、コロナ禍においても地域貢献および環境保護活動を継続しています。バリ島の永続的な発展のため、引き続き持続可能な開発目標(SDGs)に取り組んで参ります」とコメントしている。
“絶滅危惧種の保護”といっても、なかなか身近な課題として実感しにくい人もいるかもしれない。2019年に発表された、「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)」では、今後数十年間で人類活動によって絶滅危機リスクに陥る動植物種は史上最大の約100万種にものぼると報告しており、私たち人間の行動を変えていかなければいけないのは明白だ。
今回のように、家族連れを含む多くの人々が訪れる場所での活動は、絶滅危惧種の保護の必要性を身近に感じる機会になるだろう。一人一人が当事者意識を持つことが、生態系回復の後押しになるはずだ。
【参照サイト】 【ホテル・ニッコー・バリ べノア ビーチ】バリ島のホテルビーチで孵化したウミガメの赤ちゃんを放流
【参照サイト】 絶滅危惧種レッドリスト – IUCN Red List of Threatened Species
【参照サイト】 WWF:絶滅の危機が迫る、ウミガメについて
【参照サイト】 IPBES 生物多様性と生態系サービスに関する地球規模評価報告書