「心のバリアフリー」という言葉をご存知だろうか。東京パラリンピックに関する報道で初めて目にしたという人も多いかもしれない。心のバリアフリーとは、さまざまな心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支えあうことだ。観光業界においては、2021年に「観光施設における心のバリアフリー」の施行が開始されている。これは、国土交通省・観光庁がバリアフリー対応や情報発信に積極的に取り組む姿勢のある観光施設を対象とした制度だ。観光施設のさらなるバリアフリー対応とその情報発信を支援し、高齢者や障害者がより安全で快適な旅行をするための環境整備を推進することを目指している。
2021年に66施設、2022年2月に117施設を認定しており、淡路島のリゾートホテル「ホテルアナガ」も2022年2月24日に同制度の認定を受けたことを発表した。ホテルアナガでは、ユニバーサルツーリズムへの取組みとして、すべての人が楽しめる旅行であり、高齢や障害などの有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる観光施設を目指すための第一歩として、同制度に申請しており、2022年2月18日付けで観光施設としての認定を受けた。
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ホテルアナガでは子供連れの人や車いすを利用している人、サポートが必要な人が安心して利用できるバリアフリースペースを用意している。また、施設としてハード面での整備に加え、ソフト面においても、筆談アプリを使用したチェックイン対応やお客さまの受け入れやレストラン対応に関する社員研修など、さまざまな取り組みを行っている。
認定の基準は3つあり、その全てを満たす必要がある。
1・施設のバリアフリー性能を補完するための措置を3つ以上行い、ご高齢の方や障害のある方が施設を安全かつ快適に利用できるような工夫を行っていること。
2・バリアフリーに関する教育訓練を年に1回以上実施していること。
3・自社のウェブサイト以外のウェブサイトで、施設のバリアに関する情報などのバリアフリー情報を積極的に発信していること。
「心のバリアフリー認定制度」とも呼ばれるこの制度。今回紹介したホテルアナガの他にも「京王プラザホテル」や「加賀屋」、「萬珍樓」など大手ホテル・レストランも認定を受けている。
一般的にはバリアフリーと聞くと、まだまだ、建物の段差や手すりの有無などハード面でのバリアフリーを思い浮かべる人が多いかもしれない。サスティナビリティへの意識が高まっている昨今、ソフト面である心のバリアフリーを考慮したホテル・飲食店がスタンダードになる日もそう遠くはないかもしれない。
【参照サイト】HOTEL ANAGA:ユニバーサルツーリズムへの取組み
【参照サイト】観光施設における「心のバリアフリー認定制度」ホテルアナガが宿泊施設として認定
【参照サイト】観光庁:⾼齢の⽅・障害のある⽅などをお迎えするための 接遇マニュアル(宿泊施設編)
【参照サイト】観光庁:観光施設における心のバリアフリー認定制度