今、世界では資源の枯渇や気候危機など、年々深刻化する地球環境問題が顕在化している。そうした課題の解決策として、これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄を当然としてきた社会の仕組みが問題視されている。
平成24年度にみずほ情報総研株式会社が実施した「大量生産・大量消費型の経済に関する意識」という調査では、従来の一方向型の仕組みを「変えていく必要がある」「どちらかと言えば変えていく必要がある」と回答した人が約80%にものぼった。
近年は、これまで廃棄物とされてきたものを資源と考え、活用することで資源を循環させる新しい経済システム、「サーキュラーエコノミー」という言葉にも注目が集まっており、持続可能な消費への意識が高まる社会のなかで、あらゆる分野における循環型の仕組みづくりが求められている。
そうしたなか、レストランやホテルの運営、ウェディング事業を展開する「株式会社ひらまつ」は、SDGsに取り組む長崎県五島市の食材を使った特別コースを提供する「五島フェア」を開催している。
2022年5月から9月にかけて、1か月ずつのリレー形式で、都内5店舗で開催されている五島フェア。各レストランの料理長が”SDGs食材”に注目したメニューの考案に取り組んだ。2022年7月1日から8月31日には、東京・西麻布「レストランひらまつ レゼルヴ」にて、島内の資源を“循環”させて作られた「椿やさい」を使用した特別コースが提供される。本来、レストランひらまつ レゼルヴでの五島フェアは、2022年7月1日から7月31日にかけての1ヶ月間を予定していたが、好評につき8月31日までの延長が決まった。
料理長・内木塲(うちこば)氏が着目したのは、自然の本来あるべき”循環サイクル”だ。五島はもともと椿が特産として知られ、冬の12月頃から春先にかけて、いたるところで椿が赤々と咲き誇る。その椿の種子から椿油を精製する際に出る搾りかすを肥料にし、近海の海水とともに散布して育てられるのが椿やさいだ。できるだけ農薬を使わず、椿の天然肥料と海水を利用することで、メロンや野菜の栽培では糖度が増すという結果が得られたという。
今回、レストランひらまつ レゼルヴでは、ランチ・ディナー共に、期間中すべてのコースで五島特別コースが提供される。今後は、下記の店舗にて五島の食材を活かした様々なメニューが提供される予定だ。
7月:東京・西麻布「レストランひらまつ レゼルヴ」
8月:東京・二子玉川「代官山ASO チェレステ 二子玉川店」
9月:東京・丸の内「サンス・エ・サヴール」
循環サイクルに配慮した調達にこだわることで、お客さまに「食べるだけで簡単に楽しくSDGsの取り組みに参加できる」という価値を提供する今回の取り組み。SDGs食材を活用し、サステナビリティに取り組む生産者とお客さまを繋ぐことで、飲食店における“循環”の仕組みを作ることができるのではないだろうか。
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【参照サイト】ひらまつレストラン 公式ホームページ「ひらまつで味わう五島の魅力 ~みんなでおいしくSDGs~」