身体に障害を抱える人にとって、行きたい場所がバリアフリーに対応しているかどうかは重要な問題だ。
しかし、地域単位、ひいては店舗単位では、障害者に対する接客を含めたバリアフリーへの理解が進んでいないケースもあるようだ。たとえ店舗側でバリアフリーに取り組んでいるとしても、その対策が不十分であれば、身体障害者は入店を諦めざるを得ないだろう。また、当事者たる身体障害者はもちろん、家族や介助者といった支援関係者への配慮も必要だ。
そして2024年4月1日には、障害者差別解消法の合理的配慮が義務化される。これにより、障害者に対する事業者の合理的配慮が「努力義務」から「義務」に変更。さまざまな人が利用する飲食店においても、身体障害者の声を知ったうえでバリアフリーに対応することが大切だといえる。
そうしたなか、バリアフリー認証事業を展開する「一般社団法人Ayumi」は、身体障害を抱える人たちがお店を選ぶ基準や、店舗を利用する際の行動について調査。身体障害者214名に対し、インターネット調査「身体障害者の店舗利用に関するアンケート」を2023年11月29日から12月13日にかけて実施した。
バリアフリー認証とは、物理的バリアフリーや障害者への接客に関する調査・審査・認証を身体障害者と行い、店舗のバリアフリー対策や障害者への対応力向上を総合支援するサービス。85項目の調査を通じて、接客や店舗の状態に適したバリアフリー化へのアドバイスを提供するという。
一般社団法人Ayumiのアンケート結果によると、「バリアフリー対策されている店舗だと事前にわかったら、お店に行きたい」と回答した人は90.2%だった。また、「利用したバリアフリー対策がされている店舗に再度行きたい」と回答した人は95.7%。さらに、「店舗スタッフの配慮によりバリアが無くなった店舗に、もう一度行きたい」と思う人は98.6%に上った。
2015年9月に国連サミットで採択されたSDGsの目標には、「2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、全ての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する」という項目が組み込まれた。「誰一人取り残さない社会」を実現するべく、世界中で様々な取り組みが始まっている。
内閣府のデータによると、身体に障害のある人たちの数は436万人にものぼる。今回の調査結果から、飲食店が当事者やその関係者の目線に立ち、バリアフリーに対応した接客サービスを実践したり情報を周知したりすることは、お店のサステナビリティの推進だけでなく、リピーターの確保にもつながりそうだ。
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