近年、気候変動や食糧危機など、人々の暮らしを脅かす問題が世界中で深刻化している。持続可能な社会を実現するには、SDGsの目標達成が欠かせない。そのため、一人ひとりがサステナブルな意識を持って生活することが重要となる。
そうしたなか、「株式会社博報堂」は、SDGsの観点からクライアント企業のビジネスイノベーションを支援する全社的プロジェクト「博報堂SDGsプロジェクト」の一環として、4回目の実施となる「生活者のサステナブル購買行動調査2023」の調査結果を、2023年8月25日に公開した。
調査の結果、すべての年代においてSDGsの認知率は5割、知名率は8割を超え、昨年と比べて少し上昇した。
具体的には、SDGsについて「内容までよく知っている」「内容をある程度は知っている」を合わせた認知率としての回答は20~69歳で54.0%にのぼり、前回の50.5%より増加。また、「内容は知らないが名前を聞いたことがある」まで含めた知名率は81.9%となり、こちらも前回の80.8%より微増した。
年代別にみると、16~19歳の10代における認知率が77.6%、知名率が91.2%と最も高い。さらに、20代と60代でSDGsの認知率が6ポイントあまり上昇する結果となった。
日本社会でSDGsへの理解が深まっている様子は、消費者の購買行動からも読み取れる。
買い物の際に環境・社会に与える影響をどの程度意識しているか、10点満点で聞いたところ、20~69歳の平均値は4.98点だった。2019年の初回調査時に4.66点だったことを鑑みると、環境・社会を意識した購買行動は年々拡大しているといえる。
そして、サステナブルな購買行動の内容には、年代別で特徴が見られた。10~20代では、サーキュラーやシェアに関する行動の回答率が、全体より10~20ポイント高くなった。若年層ほどフリマアプリやネットオークションを利用する機会が多く、リユース品への抵抗が少ないことも影響していると考えられる。
また、70代では「環境や社会に悪い影響を与える商品は買わない」「環境や社会に悪い影響を与える企業の商品は買わない」といった回答が、全体より15~20ポイント近く上回った。70代は、商品に環境や社会への配慮を求める傾向が強いといえるだろう。
すべての年代でSDGs理解が上昇しているという調査結果は、企業にとって新たな市場開拓のチャンスとなり得る。飲食店やホテルでも、多様性に対応した食材や、環境に配慮されたアメニティ、アップサイクルされた食器などを取り入れることで、消費者にサステナブルな活動をアピールしてみてはどうだろうか。
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【参照サイト】 博報堂SDGsプロジェクト |お知らせ|博報堂 HAKUHODO Inc.
【参照サイト】 博報堂「生活者のサステナブル購買行動調査2023」