まだ食べられる食品が廃棄されてしまう「食品ロス」の問題は、食料安全保障や環境保全など多方面にわたって影響を及ぼしている。食品ロスの削減はSDGsにおけるターゲットのひとつにも盛り込まれており、世界各国の政府が主導するのはもちろん、企業や消費者に至るまで行動に移す姿勢が必要不可欠だ。
実際にアメリカでは、食品ロスを削減するために一部の州が義務規定を設けたり、市で独自の対策を進めたりしている。さらに2024年7月には、2030年までに食料廃棄を半減させるという目標に向けて、バイデン政権が初めて食品ロスに取り組む国家戦略を発表した。
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一方で、アメリカの非営利団体「ReFED」が2025年2月に公開した報告書によると、アメリカ国内における食品廃棄物は2023年に4年ぶりの高水準となる7,390万トンに達し、これは食糧供給量の31%に相当するという。さらに、家庭からの食品廃棄物が最も多く、全体の35%を占めていることも明らかになった。
こうした食品ロスを取り巻く厳しい現状の打開策として、アメリカ発のフードテックに注目したい。

マサチューセッツ工科大学(MIT)の卒業生であるBiru Cao氏とYiqing Wang氏が開発した「Foodres.Ai Printer」は、人工知能、いわゆるAIを搭載したデスクトップ型の3Dプリンターだ。
もともと両氏は、複数の異なる学問分野にまたがってデザインの変革力を追求するMITのモーニングサイド・アカデミー・フォー・デザイン(MAD)にて、コンピューター・ビジョン技術をもとに食料品店で食品廃棄物を削減するプロジェクトに取り組んでいた。2024年には、MITの学生チームが企業や非営利団体などのコミュニティパートナーと連携して創造的なソリューションを提案する「Ideas Social Innovation Challenge」に参加。その一環として、今回のプリンター開発が実現したという経緯がある。
この「Foodres.Ai Printer」に食品廃棄物をセットすると、AIを活用した付属のモバイルアプリがスマートフォンのカメラを通して食品を分析。その物理的特性に合わせ、さまざまな日用品のレシピを提案してくれる。その後、食品廃棄物は印刷可能なバイオプラスチックペーストに加工され、コースターや容器、カップホルダーなど選択したアイテムに生まれ変わるという仕組みだ。
「Foodres.Ai Printer」なら、専門的な知識や技術を持ち合わせていなくてもAIがサポートしてくれるため、一般家庭をはじめ小規模なホテルやカフェ、レストランなどでも日々発生する食品廃棄物を有効に活用できるようになるだろう。

廃棄物の素材を生かしながらデザインやアイデアによって新たな価値を与えるアップサイクルの考え方は、ただ食品ロスを削減するだけに留まらず、消費者に問題提起するきっかけともなり得る。
飲食店でも、Foodres.Ai Printerを使って食品ロスをコースターやメニュースタンド、ナプキンリングなどにアップサイクルするのも面白いだろう。お客さまとの新たな会話にもつながりそうだ。
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【参照サイト】FOODres.AI Printer
【参照サイト】ReFED: ‘Ozempic & AI Will Have Profound Impacts on US Food Waste’
【参照サイト】2025 ReFED U.S. Food Waste Report
【参照サイト】IDEAS Social Innovation Challenge | PKG
【参照サイト】This AI-Led 3D Printer Turns Food Waste Into Everyday Objects




















































