
花はホテルや結婚式場などの装飾にも活用され、人々の暮らしを鮮やかに彩る存在だ。季節のイベントや祝い事のプレゼントとして、花を贈る方も多いのではないだろうか。しかし近年、まだ美しいにもかかわらず廃棄されてしまう「フラワーロス」が問題となっている。
一般社団法人フラワーライフ振興協議会のWEBサイトによると、日本国内でのフラワーロスによる経済損失は、年間1500億円にものぼるという。この数字は、小売店で仕入れた花の約30~40%が廃棄されていることを意味する。
そもそも花業界では、小売業者による過剰入荷が起こりやすく、売れ残った分は廃棄するしかなかった。さらに、市場で品質やサイズが規格外とされたものや、装飾用として使われたものはそのまま処分される。結果的に、大量のフラワーロスが発生しているのが現状だ。花の個人消費が年々減少傾向にあるなか、花業界にとってフラワーロスの削減は大きな課題といえるだろう。
こうした背景から、廃棄素材を再利用したクラフトジンを生産する蒸留ベンチャー「エシカル・スピリッツ株式会社」と、事業者同士を結び付けてアップサイクルの取り組みを促進する「株式会社LOSS IS MORE(ロスイズモア)」が提携。
毎年5月の「母の日」シーズン後に大量廃棄されているカーネーションを中心に、フラワーロスを原料としたクラフトジン「LOSS IS MORE GIN(ロスイズモアジン)」を2023年8月7日より販売開始した。
この商品は、エシカル・スピリッツ株式会社と株式会社LOSS IS MOREそれぞれの公式サイトや公式ショップで購入可能。また、蔵前の東京リバーサイド蒸溜所併設の「エシカル・スピリッツオフィシャルストア」では8月16日より、バー・ダイニング「Stage by The Ethical Spirits & Co.」では8月17日より提供している。
LOSS IS MORE GINの原料には、岩手県内の生花店「田村フローリスト」から提供されたフラワーロスを使用。母の日を過ぎてロスとなったカーネーションに、バラとユリを加えた3種類の花々が、クラフトジンに豊かな香りを与えている。すっきりとした飲み口と花の香りを楽しめるところが、大きな魅力だ。
本来廃棄されるはずの花を飲料として活用することで、ユニークな新製品を開発するとともに、フラワーロスを削減できる。また、フラワーロスの問題を世間に周知し、エシカル消費を促す効果も見込めるだろう。
アルコールを提供する飲食店やホテルでも、花をただインテリアとして消費するだけではなく、サステナブルなドリンクに活かすように働きかけてはどうだろうか。
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【参照サイト】 フラワーロスってなんだろう?解決のために私たちができること ‐ フラワーライフ振興協議会
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【参照サイト】 アップサイクル コレクティブ「LOSS IS MORE」発足、第一弾プロダクト「LOSS IS MORE GIN」発売のお知らせ