SDGsの認知と浸透が拡大するなか、飲食店やホテルなどサービスを扱う企業に特に関わりの深いのが、12番目の目標「作る責任 使う責任」だ。大量生産・大量消費が主流の現代の日本においても、工夫次第でものの寿命を延ばし、そのものを最大限に活かすことはできるのではないか。
観光産業特化型ポータルサイト「トラベルビジョン」を運営する株式会社エフネスと、100年以上の歴史を持つ株式会社京都紋付は、ホテル・旅館の館内着を黒く染め直して粋にアップサイクルするプロジェクトを開始。ホテル・旅館向け黒染め事業に関する排他的独占代理店契約を締結した。
ホテルや旅館を対象にした今回のプロジェクトでは、長年着まわされた館内着や浴衣を有効活用することができる。汚れや色褪せが気になるそれらの衣類を、100年以上黒染めを専門としてきた株式会社京都紋付が歴史ある独自技術で「深黒加工」を施す。衣類を長く使うことができるうえ、買ったときとは違う色を新鮮な気持ちで楽しむことができる。廃棄予定の衣類にもう一度命を吹き込む、「リウェア」文化の構築を目指している。
今までであれば廃棄して買い換えていたところ、アップサイクルし使い続けられることでコストや環境負荷の削減となり、施設側だけでなく地球へのメリットも大きい。
また施設を訪れるゲストへもこの取り組みをさりげなく伝えつつ、関心を持たれれば黒染めの申し込みができるという。そうすることで施設にもコミッションが入る仕組みだ。
世界自然保護基金ジャパンの調査によると、Tシャツ一枚を製造するのに必要な水は2,720リットルで、水という大量の資源を使うことに。また化学物質を含む染料で染めることは水質汚染やCO2の発生にもつながっている。さらにそれらを廃棄するにも、さまざまな繊維が混ざり合っているため簡単にリサイクルすることも難しい。リサイクル・リユースされるのは家庭から廃棄されるものの約34%で、それ以外は焼却・埋め立てされているのが現状だ。数多くの課題を抱えたファッション業界だが、だからこそ改善の余地があり今その策が求められている。
京都伝統の染め技術が衣類再生に貢献する同プロジェクト。その取り組みが循環するほど関わる人にも豊かさがもたらされる仕組み作りを採用した。人と地球に優しい画期的なこの取り組みの今後に期待したい。
【関連ページ】
【参照サイト】【トラベルビジョン✕京都紋付】ホテル・旅館の館内着を黒く染め直して粋にアップサイクル
【参照サイト】Travelvision×株式会社京都紋付
【参照サイト】国民生活センター:衣料廃棄物について考える。
【参照サイト】外務省:SDGsグローバル指標 12.つくる責任つかう責任
【参照サイト】オーガニックコットンに関する記事