乳糖不耐症や牛乳アレルギーの増加、健康意識やサステナビリティへの意識の高まりなどにより、成長を続けている乳製品代替品市場。株式会社グローバルインフォメーションによると、その市場規模は、2020年の226億米ドルから​CAGR(年平均成長率)10.3%で成長し、2026年には406億米ドルに達すると予測されている。

そうした中、スウェーデンに拠点を置くVeg of Lundは2021年7月にヴィーガン乳製品ブランド「Dug」を立ち上げ、世界初となるジャガイモベースの植物性ミルクを開発した。Dugは大豆、オーツ麦、アーモンドなどの従来の植物性ミルク原料を使用していない。その代わりにジャガイモを主成分とし、エンドウタンパク、マルトデキストリン、チコリ繊維、菜種油、天然香料を配合しており、ビタミンD、ビタミンB12、葉酸なども豊富だ。Veg of Lundはルンド大学の科学的な研究に基づき、他にも植物性スムージーMYFOODIE®️などを製造・販売している。

ジャガイモを主成分としているDugは環境負荷が低く、育てやすいために持続的に栽培できることも特徴だ。カーボンフットプリントは1kgあたり約0.27〜0.31kgのCO2と推定されている。水分をさほど必要としないことや、作物の中でも成長にかかる時間が短く早ければ50日ほどで成長することもポイントだ。また、必要な土地はオーツ麦を栽培する場合に比べて半分程度で済むという。

他にもジャガイモのポテンシャルに着目する企業は増えてきている。例えば、イギリス最大のジャガイモサプライヤーBranstonは、ジャガイモをタンパク質に変換する新しい工場を建設している。このジャガイモ由来のタンパク質は、ヴィーガン向け肉製品や乳製品の原料として使用される。また、オランダのAvebeは、ヴィーガン・ベジタリアン食品市場向けに、Solanicと呼ばれるポテトプロテインを製造している。

比較的安価に栽培でき、育てやすく栄養価の高いジャガイモは食糧危機の救世主としても注目されている。また、発展途上国でも多く生産されていることから、消費量が増えればその国の収入増加にもつながる。今後もジャガイモを有効活用した取り組みに期待したい。

【参照サイト】This Swedish Startup Just Made The World’s First Potato-Based Plant Milk
【参照サイト】株式会社グローバルインフォメーション|プレスリリース
【参照サイト】DUG
【参照サイト】Branston
【参照サイト】Avebe

table source 編集部
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table source 編集部では、サステナビリティやサーキュラーエコノミー(循環経済)に取り組みたいレストランやホテル、食にまつわるお仕事をされている皆さまに向けて、国内外の最新ニュース、コラム、インタビュー取材記事などを発信しています。
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