ミャンマーの教育支援に貢献できるコーヒー。施設で暮らす子どもが描いた絵をラベルに

ジャパンハート

世界には、貧困に苦しむ人々が大勢いるのが現状だ。SDGsのなかでも、1番目の目標に「貧困をなくそう」という項目が挙げられており、持続可能な社会の実現には貧困問題の解決が欠かせないといえるだろう。

なかでもミャンマーでは、HIVの感染問題を背景に、子どもの貧困が深刻化している。1990年半ばから、出稼ぎや売春・人身売買によるエイズ患者が増加し、年間で1万7000人もの人が亡くなったという。その結果、ミャンマー国内ではエイズで親を亡くした子どもたちが十分な食事や教育の機会を得られず、困窮する事態に陥った。さらに、貧しさから売春や人身売買のターゲットとして危険にさらされるという悪循環が続いていた。

そこで、国際医療NGOである「特定非営利活動法人ジャパンハート」は、2010年にミャンマー最大の都市・ヤンゴンにて養育施設「Dream Train(ドリームトレイン)」を設立。親を亡くした子どもや貧困により教育を受けられない子ども、昨今の情勢により難民となった子どもたちを広く受け入れ、教育や就労をサポートしている。施設の運営を通じて、ミャンマーの子どもたちが安心して生活し、夢を持って自立できるように支援することが目的だ。

2023年11月1日には、このDream Trainで暮らす子どもによる絵が描かれた、ミャンマー産ドリップコーヒーの販売がスタートした。売り上げの一部は、支援金としてミャンマーの子どもたちの教育支援活動にあてられる。

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ドリップコーヒーを生産しているのは、ミャンマーの少数民族ダヌー族出身であるSu Su Aung(ススアウン)さんが立ち上げた、女性生産者グループ「AMAYAR COFFEE(アマヤーコーヒー)」だ。AMAYAR COFFEEでは、農薬や化学肥料を使用しない自然農法でコーヒーを栽培している。国際的な評価機関SCAA(Specialty Coffee Association of America)のカッピングスコアではスペシャルティコーヒーと認定される80点以上のスコアを獲得しており、世界的な評価も高い。

今回、ドリップコーヒーを取り扱う「ビーンズ・コネクティッド株式会社」は、日本ではまだ知名度の低いミャンマー産コーヒーの魅力だけでなく、コーヒーを生産する女性たちの想いも伝えたい、としている。

飲食店やカフェ、ホテルにとって欠かせない存在であるコーヒー。コーヒー生産者の貧困や労働環境の悪化によって生産量が減少すれば、「コーヒーの2050年問題」を加速させかねない。同時に、貧困や飢餓への対策といったSDGsの目標達成も遠のいてしまうだろう。

AMAYAR COFFEEのようなサステナブルなコーヒーを積極的に調達・提供することで、生産者に利益が還元され、経済的自立を促せるうえ、子どもたちの命や未来を守ることにもつながる。また、見た目にも印象的なパッケージは、お客さまの目にとまりやすいだろう。お客さまとのコミュニケーションのなかで、生産者の想いを広く紹介してはどうだろうか。

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「コーヒー2050年問題」の解決に向けて、飲食店ができること

【参照サイト】 【ミャンマーの子どもがデザイン】情勢に翻弄されながらも夢を持つ子どもがラベルを描いたミャンマー産コーヒー発売!
【参照サイト】 Dream Train | 教育・自立支援 | 活動について | ジャパンハート JAPAN HEART
【参照サイト】 RoCoBeL(ロコベル)

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table source 編集部では、サステナビリティやサーキュラーエコノミー(循環経済)に取り組みたいレストランやホテル、食にまつわるお仕事をされている皆さまに向けて、国内外の最新ニュース、コラム、インタビュー取材記事などを発信しています。
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