近年、カーボンニュートラルや、脱炭素社会実現への意識が高まっている。2021年3月19日に、内閣府が公開した「気候変動に関わる世論調査」では、“「脱炭素社会」の実現に向け、一人一人が二酸化炭素などの排出を減らす取組について、どのように考えるか”という質問に対し、「取り組みたい」と回答した人の割合が91.9%にものぼった。
そうしたなか、2020年10月、日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、「カーボンニュートラル」の実現を目指すことを宣言した。また、2021年10月22日に閣議決定された「地球温暖化対策計画」では、2030年度までに日本の温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指すことを掲げるなど、国としても具体的な取り組みを進めている。
温室効果ガスはさまざまな環境問題の要因となり、農業生産にも大きな影響を及ぼしている。豊かな食の存続が危ぶまれるなか、「日本サステイナブル・レストラン協会(SRA-J)」は、2022年8月17日、「CREATIVE CHEFS BOX 2030 食の未来を思い描いて「問い」を立てる 勉強会」と題して、食の持続可能性の基礎知識を学ぶ勉強会を開催した。
2030年は、2015年9月の国連サミットで採択された、持続可能な開発目標「SDGs」の達成を目指す年。今回の勉強会では、「食の持続可能性」の基礎知識を学びつつ、“2030年の食の未来に向けた料理人としての「問い」“をテーマに、3つのグループに分かれてワークショップやディスカッションが行われた。ワークショップの後は、各グループの代表者が成果を発表。食材の調達や生産者とのコミュニケーション、飲食店におけるこれからの働き方についてなど、さまざまな視点から「料理人として、食の未来のために何ができるか」意見交換が行われた。
また、イベント終了後には交流の時間も設けられ、同じ志や興味を持つ参加者が集い、気軽に質問をし合える貴重なコミュニケーションの場となった。
■「Creative Chefs Box 2030」概要
【応募対象者】
ミレニアル世代(1980年生まれ)以下の、シェフまたは調理師専門学校生(飲食店・宿泊施設に従事する料理人の他、出張料理人、料理研究家、調理学校講師なども含む)
【心を動かす「問い」の設定】
2030年の食の未来に向けた、料理人としての「問い」
【応募期間】
2022年9月16日〜9月30日
【加点条件】
・食料の無駄をなくす(食品ロス削減)
・より多くの野菜を使用(プラントベース)
・低カーボンフットプリント
・ベターミートの使用
・地産地消と旬の食材の推進
・水産資源や生態系の保全に配慮した魚介類の使用
詳しい募集概要は公式サイト参照
主催者である日本サステイナブル・レストラン協会は、持続可能な食の循環を実現させることを目的に2010年にイギリスで設立された「日本サステイナブル・レストラン協会(SRA)」の日本支部だ。サステナブルなフードシステムの実現に向けたサポートや、網羅的な指標で「食」の持続可能性をはかることで、持続可能なフードシステムの構築に貢献している。
「調達・社会・環境」の3つの指針に基づくサステイナブル・レストラン協会のレーティング指標は、SDGsが掲げる17の目標全てを網羅している。この評価指標は食のアカデミー賞として知られる「世界のベストレストラン50(The World’s 50 Best Restaurants)」の評価指標にも使用されており、「食」を通じた環境課題が世界的に重要視されていることは明らかだ。
日本政府の「地球温暖化対策計画」やSDGs達成の目標年とされる2030年が刻一刻と迫る今、企業、そして個々人として、環境課題解決に向けて取り組む姿勢が問われている。サステナブルな飲食店づくりの第一歩として、まずは、こうした勉強会やコンテストへの参加から行動を始めてみてはいかがだろうか。
【参照サイト】内閣府:世論調査 脱炭素社会の実現に向けた取組
【参照サイト】環境省:脱炭素ポータル カーボンニュートラルとは
【参照サイト】CREATIVE CHEFS BOX 2030 食の未来を思い描いて「問い」を立てる 勉強会
【参照サイト】Creative Chefs Box 2030 VOL.2