米海洋大気局(NOAA)の報告によると2020年は過去最高を記録した2016年に次ぎ、141年の記録の中で2番目に暖かい年になったという。1985年にオーストリアのフィラハで開催された世界会議をきっかけに、二酸化炭素による気候変動の問題が大きくとりあげられるようになったが、今なお世界の年平均気温は年々上昇している。
そうした中、国連の「気候変動枠組条約」に参加している国が集まる「国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)」が2021年10月31日~11月12日まで、スコットランド西部に位置するグラスゴーで開催された。議題の中心が気候変動問題であることから、期間中参加者にはCO2排出量削減に配慮されたメニューが振る舞われたという。
メニューに使用される食材の80%はスコットランド内で、約95%がイギリスで調達された。また、COP26の主催者は、畜産が世界の温室効果ガス排出量の18%を占めていることから、比較的CO2排出量の少ないプラントベース(植物由来)の料理を提供するとした。
例えば、ラザニアには根セロリなどの根菜類やかぼちゃを使用し、ヴィーガンチェダーがトッピングされた。この料理のカーボンフットプリントは、CO2換算で0.7kgだそうだ。また、有機ケールと季節の野菜のパスタには、グルテンレスのスペルト小麦から作られたフジッリやハラタケ、地元産の野菜を使用し、カーボンフットプリントは0.3 kgとさらに低くなっていた。トマトパスタには有機スペルト小麦の全粒粉ペンネ、トマトラグソース、ケールが使用され、オートミールベースのクランブルがトッピングされ、カーボンフットプリントは0.2kgまでに抑えられていた。
そのほかにも、余った食材を他の食事に再利用することで食品廃棄物を出さないようにし、会議全体で再利用可能なカップを採用するなどケータリング業務全体で可能な限りサステイナブルな運営を目指した。
COP26の首脳級会合である世界リーダーズ・サミットでは、130か国以上の首脳によるスピーチが行われ、各国の取組が表明された。日本から参加した岸田総理は、2030年度に温室効果ガスを2013年度比で46%削減することを目指し、さらに、50%の高みに向けて挑戦を続けていくことなどを宣言した。
COP26の重点議題には「石炭の段階的廃止の加速」、「森林破壊の削減」、「電気自動車への切り替えの加速」、「再生可能エネルギーへの投資奨励」の4つがあげられ、食分野に関する内容は含まれなかった。一方で、期間中に提供される食事によって、食分野がCO2削減に取り組まなければならない重要性や具体的な手法が示されていたといえる。
【参照サイト】COP26 Delegates Will Have a Local, Seasonal Plant-Based Menu
【参照サイト】岸田総理大臣によるCOP26出席|外務省
【参照サイト】全国地球温暖化防止活動推進センター
【参照サイト】公益財団法人地球環境戦略研究機関
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