牛や豚などの肉は、人間の体にとって大切なたんぱく源だ。しかし、現行の畜産業では、家畜の飼育過程で環境に大きく負荷をかける点が問題視されている。
一方で、2022年5月の財務省の広報誌によると、今後の人口増加に伴い、2050年にかけて世界全体の畜肉消費量は1.8倍に増加するという。高まる食肉の需要を受けて、サステナブルな生産体制の構築が急務といえるだろう。
そこで、新しいたんぱく質の供給源として代替肉に注目が集まっている。国際的にみても、代替肉の市場は拡大傾向だ。実際に、日本でも代替肉に対する消費者の関心は高い。2021年5月に行われた代替肉・代替たんぱく質に関する調査では、約半数が代替肉・代替たんぱく質を「食べてみたい」と回答した。こうした食事への意識は、環境保全のためだけでなく、食料危機への懸念や健康志向も影響していると考えられる。
近年では、大豆ミートをはじめ、さまざまな植物性たんぱく質の代替肉を使った食品が登場している。一方で、大豆ミートの調理には、植物性たんぱく特有のにおいを抑えるため下処理や味付けに工夫が必要だといわれている。代替肉の使用シーンをより広げるには、素材本来の味を活かして調理できることがポイントとなる。
そうしたなか、日本酒の大手醸造メーカー「白鶴酒造株式会社」は、代替肉用の料理酒「白鶴 料理酒 CS-4T」を2023年6月より販売開始した。
「CS-4T」には、清酒酵母が生成するマスキング成分が含まれている。これにより、植物性たんぱく質のにおいが抑制され、素材本来の風味を向上させることが可能だという。また、通常の料理酒と変わらず、代替肉以外の食材にも使用できる。
代替肉はサステナブルな食材として注目される一方で、畜肉よりも風味が劣るとみなされやすい。こうしたマイナスイメージを克服するにあたって、代替肉用の料理酒を活用することは効果的だといえる。飲食店でも代替肉用の調味料を取り入れて、自然な旨みの代替肉メニューを考案し、他店との差別化を図ってみてはどうだろうか。
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