災害時に出動するコンテナホテルが来春開業。災害に強いまちづくりに貢献

災害大国である日本。世界全体に占める日本の災害発生割合は、マグニチュード6以上の地震回数20.8%、活火山数7.0%など、世界の0.25%の国土面積に比して非常に高いというデータがある。さらに今後30年以内の巨大地震、発生率は70%とも言われている。南海トラフ地震や首都直下地震などが話題となっているが、火山国でもある日本は全国どこでもこうした巨大な地震災害に見舞われる可能性がある。

災害に対する十分な備えを求められるなか、建築・不動産事業やエネルギー事業を展開する「株式会社デベロップ」は2023年春頃、三重県津市に災害時に避難所として活用できるホテル「HOTEL R9 The Yard 津」をオープンすることを、2022年10月12日に発表した。三重県内で二店舗目となるこの“動く”ホテルは、平常時にはコンテナホテルとして稼働し、災害の際に「出動する」レスキューホテル。同ホテルのある津市は、中部圏と近畿圏の結節点。県内外へのアクセスが充実し、多くの人やものが行き交う都市に「動くホテル」を構える意味は大きいだろう。

また、独立した客室は建築用コンテナモジュールを利用した、プライバシー性に優れた構造。良質なベッドやユニットバスなど必要な設備を備え、コンテナとはいえ快適な滞在ができる空間だ。そして有事の際には客室をすみやかに被災地へ移設し、「レスキューホテル」として避難施設の役割を担う。

同ホテルは災害に強い社会作りや、災害から命や暮らしを守ることを目指せることから、SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」とも深く関連。持続可能な開発目標の達成に貢献する「SDGs事業認定」を受けている。また、商品やサービスが日常時も非常時も価値を持つことを認証する制度「フェーズフリー認証」も取得済みだ。

レスキューホテルとしての実績としては、2020年4月の長崎クルーズ船内における新型コロナウィルス感染症拡大予防対策として初の有事出動を果たしている。その後も同様の目的で、臨時医療施設やその付帯施設として出動。一台一客室の独立した客室構造により、自治体や民間の病院の有事インフラとして地域医療に貢献する機会も増えている。

災害時に、僻地などが陸の孤島と化すことがたびたび話題になるが、こうした地域単位のレスキューが可能になれば、より多くの住民の救助にも繋がる。宿泊だけでなく、防災機能も兼ねたホテルは、地域にとって心強い存在になるはずだ。

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【参照サイト】 三重県津市に災害時に出動するコンテナホテル 「HOTEL R9 The Yard 津」が2023年春頃開業予定
【参照サイト】 R9 HOTELS GROUP|HOTEL R9 The Yard 津

【参照サイト】 世界の災害と比較する日本の災害
【参照サイト】 内閣府 防災予防のページ 災害を受けやすい日本の国土
【参照サイト】 第2節 地球環境・自然災害に関する予測

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