カフェメニューやレストランの食後に欠かすことのできないコーヒー。コーヒー好きのなかには、自宅や職場、外食問わず1日に何杯もコーヒーを飲む人も多い。全日本コーヒー協会によると2020年の日本におけるコーヒーの消費量は約43万トンで、1週間当たりにすると、一人11.53杯飲んでいることになるという。

そうしたなか、2022年1月にスイス中央部にあるスイス応用科学大学の科学者らは、今後予測される気候変動により、現在コーヒーが栽培されている主要地域の一部で、栽培に適した土地の面積が大幅に減少する可能性が高いと発表した。

今回の研究では、熱帯地方の気温や降雨パターンなどの純粋な気候的要因に加えて、土地や土壌のパラメータが調査された。これにより、土壌のpHや質感といった要因の変化によって、一部の熱帯地域の作物栽培の適性が大幅に変化する可能性があることが判明した。

コーヒーは熱帯地方の小規模農家で生産され、世界的に取引されている重要な作物の一つだ。同大学によると現在世界最大のコーヒー生産国であるブラジルでは、気候変動によりコーヒー栽培に最も適した土地が79%減少することになるという。一方で、これまでコーヒー生産には向かなかった中国、アルゼンチン、米国の一部がコーヒー生産に適するようになる可能性も示している。このように特定の作物の栽培を、気候の影響がより穏やかな別の地域へと移すことも考えられるが、どのような緩和策をとったとしても、将来的には多くの熱帯作物が不足し、その分高価になると言及している。

気候変動には飲食業界や食品業界などを含むフードシステムが加担していると言われており、その数値は世界の温室効果ガス排出の21〜37%を占めると推計されている。環境負荷は目に見えにくい分、環境に配慮した行動を起こしにくい面もあるだろう。一方で、今回の研究のように飲食業界にダイレクトにダメージを与える可能性があるとなれば話は別だ。そうした事態を避けるためにも、一人一人が環境に配慮した店づくりに向き合うことが大切だ。

【参照サイト】New Research Claims Coffee May Become Harder To Source And More Expensive As Climate Change Rages On
【参照サイト】フードシステムを通じた気候変動対策強化|国際農研

table source 編集部
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