ハワイ大学マノワ校の研究者は、コーヒーを生産する際に取り除かれる果肉「コーヒーパルプ」が熱帯林の回復に役立つことを発表した。
国際連合食糧農業機関(FAO)によると、世界の森林面積は約40億haであり、陸地面積の約3割を占める。この森林面積は2010年から2020年の間に年平均470万ha減少している。特に、開発途上国では熱帯林を中心に急速に森林の減少・劣化が進んでおり、森林減少・劣化に起因する温室効果ガスの排出を削減することが気候変動対策において重要となっている。
こうした問題に対して、食品ロスを活用して解決しようと挑むチームがいる。ハワイ大学のマノワ校の研究チームだ。彼らは、コーヒー生産の副産物であり廃棄されてしまうコーヒーパルプを使用して、農地として使用された後の荒廃した土地を森林に再生する研究を行った。
研究では、隣接する35×40mの土地を2つを用いて、片方には何もせず、もう片方の土地にはコーヒーパルプを深さ0.5mほど敷き詰めた。2年間にわたって、両方の土地の土壌養分や地被植物、下層植生、樹木の定着、樹冠被覆(樹木上部の葉の茂みで被われている部分)の変化を測定した。
2年間の計測を続けた結果、土壌の炭素、窒素、およびリンが、何もしなかった土地と比較してコーヒーパルプで覆った土地では大幅に上昇し、樹木の定着が早く、樹木の面積や密度、高さが急速に向上した。この研究結果により、コーヒーパルプのような農業廃棄物を利用することで、荒廃した熱帯地域の森林再生を促進できる可能性があることがわかった。
今回の研究は、食品ロスの削減と森林再生の二つを同時に解決する素晴らしいアイデアだ。この研究をもとに、より多くの地域で森林再生の取り組みが進むことに期待したい。
【参照サイト】Coffee pulp accelerates early tropical forest succession on old fields – Cole – 2021 – Ecological Solutions and Evidence – Wiley Online Library
【参照サイト】Global Forest Resources Assessment 2020(FRA 2020)
【参照サイト】森林・林業分野の国際的取組:林野庁