近年、「所有から共有」する考え方へ、消費行動を転換するサブスク市場が拡大している。株式会社インテージホールディングスの調査では、循環経済型サブスクの認知度は40%にものぼるという。
そうしたなか、「“暮らす”を着替える」をコンセプトに、家具・家電のサブスクリプションサービスCLAS(クラス)を運営する株式会社クラスは、京都市と連携して家具の再利用を促進し、廃棄を減らすための新たなサービスを2022年2月1日より開始した。
京都市では、持続可能な循環型社会の形成のため、2R(リデュース:ごみの発生抑制、リユース:再使用)を推進することを課題としている。また、市内では例年3月、4月に大型ごみの排出量が多くなっている。この原因として、人口の約1割を占める学生や単身赴任者の引っ越しに伴う家具や家電の廃棄が挙げられる。そこで京都市では、京都市民に初月月額利用料50%OFFでCLASのサービスを提供することで、この家具・家電を「所有から共有」する考え方を浸透させ、「2R」の推進を図る。
CLASは家具・家電の利用・交換が行なえる、個人・法人向けのサブスクリプションサービス。必要なときに必要なものをレンタルし、不要になったら返却する、という循環型の「所有しない利用」を促進することを目的としている。返却品には専門のリペア職人によって修繕やリフレッシュを施し、再貸し出し可能な状態にして次のユーザーに貸し出すことで、商品を廃棄せずに循環させる。SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」の達成に向け、循環型でサステナブルな「ものを捨てない社会づくり」の実現を目指している。
環境省は今後の方針として、リサイクルより優先順位の高い「2R」の取り組みを進めていく必要があると公表している。これは、世界規模で不足している天然資源の消費を抑制することがより強く求められていることや、日本の2Rの取り組みが遅れていることが背景にある。CLASと京都市の連携は、サブスク市場の拡大をさらに加速させ、循環型社会を実現する大きな一歩となるだろう。
ホテルやレストランの家具や調度品は定期的に変更することで雰囲気が変わり、リピーターのゲストにも喜ばれる。一方で、新しく買い換えるとなると費用も廃棄物もかさんでしまう。環境配慮の視点だけでなく、イニシャルコストとランニングコストを考えたときに合理的な選択となるのであれば、できる限り家具類は所有しないというのも選択肢の一つかもしれない。
【参照サイト】家具・家電のサブスクリプションサービス「CLAS」、京都市主催の公民連携・課題解決推進事業「KYOTO CITY OPEN LABO」に採択
【参照サイト】循環経済型「サブスク」で変わる?環境負荷の低減 ~認知度40%・利用率15%でも、利用者は高い意識~
【参照サイト】日本の廃棄物処理の 歴史と現状 – 環境省
【関連記事】
【関連記事】