
昨年2021年4月に、中国で食べ残しを禁止する法律「反食品浪費法」が可決された。過剰な量の食べ残しをした客に対して、飲食店側は食べ残した分の処分費用を請求できる。同時に、中国の動画共有サイトで人気の「大食い映像」の配信も禁止され、大食い番組に関わったテレビ局や動画配信業者に最大10万元(約160万円)の罰金が科されることになり、世界中で話題となった。
中国の「食」に対する改革が進むなか、消費者の意識にも変化が現れているようだ。アジアの持続可能性に関する調査・研究を行う「Good Growth」社による2022年の最新の調査によると、中国の消費者の40%近くが肉の消費量を積極的に減らしていることがわかった。同調査はJournal of Human Nutrition and Dietetics(アメリカ国立医学図書館)のサイトにも掲載されている。
Good Growth社によると、現在の中国のベジタリアンの割合は2%で、ヴィーガンは0.7%と、低い割合に留まっている。一方で、肉の消費を減らそうとする消費者の割合は、38.8%にものぼったという。
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世界的な市場拡大を続けるプラントベース(植物性)食品は、中国市場にも続々と参入している。今回の調査によると、中国の消費者の約60%がプラントベースの代替肉を試したことがあり、これらの消費者のほぼ半数が、もう一度食べると答えました。特に、若年層や北京や上海などの大都市の居住者が、代替肉に消費意欲を示す傾向が高かったという。
代替肉に対しての認識調査では、「動物に優しい(アニマルウェルフェア)」と考えている人が最も多く、次いで「環境に良い」「健康的」「安全」「トレンディ」だと感じているという結果だった。一方で「本物志向」「ナチュラル」「手頃な価格」だという認識は低い数値に留まっている。
同社は今後の中国の消費者意識について「中国の消費者は現在、プラントベースの代替肉に対して強い見解を持っていません。したがって、これはメディアやマーケティングを通じて、まだ未開発の消費者意識を積極的に形成するタイムリーな機会かもしれません。」と述べている。
現在の中国は、まだヨーロッパ諸国のようにサステナブル先進国とはいえないかもしれない。しかし、世界人口の約20%を占める中国の消費者意識の移り変わりが、日本を含む世界の市場に大きく影響を及ぼすことは明白だ。インバウンド需要が回復しつつあるなか、飲食店としても世界の消費者の動向を注視しておく必要があるだろう。
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【参照サイト】 Good Growth – Homepage
【参照サイト】 Journal of Human Nutrition and Dietetics