海に囲まれた日本にとって、SDGs14番目のゴールである「海の豊かさを守ろう」は重要な課題だ。一方で、農林水産省によると2020年の日本の漁業・養殖業の生産量は約417.5万トンで、ピーク時である1984年の約1,282万トンに対し、この35年で漁獲高が1/3以下になっている。漁業大国と呼ばれてきた日本にとって、漁獲高の激減は深刻な問題だ。

そうしたなか、2021年9月に、海の未来を考える料理人チーム「一般社団法人Chefs for the Blue (シェフス フォー ザ ブルー )」は、これまでの東京に加えて新たに「Chefs for the Blue京都」を創設した。

Chefs for the Blueは、魚が激減していた日本の海に危機感を抱いたジャーナリストと東京のトップシェフ約30名が、2017年に設立した一般社団法人だ。持続可能な水産資源のあり方を考え、食文化を未来につなぐことを目標としており、研究者や水産関係者を招いての勉強会を重ねてきた。設立以来、飲食業界や一般向け消費者に向けてさまざまな啓発活動を展開。また、企業やメディア、環境保全団体など、多くのパートナーとのコラボレーション事業を通じて、サステナブルな生産・消費様式への移行を訴えてきた。理事には、「カンテサス」オーナーシェフの岸田周三氏、「シンシア」「シンシアブルー」オーナーシェフの石井真介氏、「ザ・バーン」エグゼクティブシェフの米澤文雄氏、「シーフードレガシー」代表取締役社長の花岡和佳男氏らが名を連ねる。

「Chefs for the Blue京都」へは、京都料理界を代表する人気シェフ12名が参加。発起人である京都・岡崎のイタリアンレストラン「cenci(チェンチ)」のオーナーシェフ、坂本健氏が全体を取りまとめるリードシェフを務める。

cenciのオーナーシェフ、坂本健氏

「Chefs for the Blue 京都」チームメンバー
• 泉 貴友「じき宮ざわ」料理長
• 今井 義浩「モンク」オーナーシェフ
• 緒方 博行「洋食おがた」オーナーシェフ
• 酒井 研野「研野」主人
• 坂本 健「チェンチ」オーナーシェフ
• 佐々木 浩「祇園さゝ木」主人
• 仲本 章宏「リストランテナカモト」オーナーシェフ
• 中本 敬介「ビーニ」オーナーシェフ
• 船越 雅代「ファームーン」主宰
• 前田 元「レストラン モトイ」オーナーシェフ
• 森永 宣行「ドロワ」オーナーシェフ
• 渡辺 幸樹「大鵬」オーナーシェフ   (以上、五十音順)

今後の活動としては、「海と水産業の勉強会(全9回)」や「漁場視察/漁業者との対話
」、「ダイニングイベント(1月予定)」などを予定している。

海洋環境の変動や生息環境の悪化、過剰な漁獲などの要因でさまざまな水産物が激減しており、国際自然保護連合(IUCN)によって「絶滅危惧種」に指定されている。一方で、2021年9月のレッドリスト更新では、商業的に最も多く漁獲されているマグロ類のうち4種が、回復の兆しを見せていることが明らかになったという。これは、各国がより持続可能な漁獲割り当てを実施したり、違法漁業の撲滅に成功したりした結果だ。Chefs for the Blueのような、持続可能な水産業を推進する活動が増えれば、「今まで普通に食べられていた水産物が今後食べられなくなる、または将来子供に食べさせてあげられなくなる」という事態が回避されるかもしれない。

【参照サイト】海の未来を考えるシェフチームの新たな挑戦 「Chefs for the Blue 京都」が始動!
【参照サイト】Chefs for the Blue
【参照サイト】令和2年漁業・養殖業生産統計|農林水産省
【参照サイト】令和元年度 水産白書|水産庁
【関連記事】スペイン発、トマトから作られた生のヴィーガンマグロ「Tunato」

table source 編集部
table source 編集部
table source 編集部では、サステナビリティやサーキュラーエコノミー(循環経済)に取り組みたいレストランやホテル、食にまつわるお仕事をされている皆さまに向けて、国内外の最新ニュース、コラム、インタビュー取材記事などを発信しています。
Share
This