日本では2022年4月、使い捨てプラスチックなどの削減を目指す「プラスチック資源循環促進法」が施行されたことが記憶に新しい。この法案の施行により国や自治体、サービスや商品を提供する企業側だけでなく、それらを利用する消費者側にもプラスチック消費を削減する行動が求められることとなった。
またSDGsの目標の12番目「つかう責任 つくる責任」では化学物質や廃棄物の削減、14番目の「海の豊かさを守ろう」ではプラスチックなどの海洋ごみの大幅な削減に触れている。
そうしたなか、アメリカ・カリフォルニア州では2022年6月30日、プラスチックや廃棄物に対する新法が成立。カリフォルニア州のGavin Newsom(ギャビン・ニューサム)知事が署名したのは、全ての包装材にリサイクル可能か堆肥化可能であることを義務付ける「プラスチック汚染防止および包装の生産者責任に関する法案(Plastic Pollution Prevention and Packaging Producer Responsibility Act、SB 54)」だ。
今回成立した法案では、2032年1月1日までに全ての使い捨てプラスチック食器の使用量を25%減少させることを要求し、州内のすべての梱包材をリサイクルまたはコンポスト可能なものにすることを義務付けている。
また同期間に全ての使い捨てプラスチック梱包材の65%をリサイクルすることが求められており、リサイクル率は2028年1月1日までは30%、そこから段階的に引き上げられ、2032年1月1日には少なくとも65%としている。リサイクル率が規定値に達しない場合、発泡スチロール商品生産者による州内での商品販売・配布が禁止されるという厳しいものだ。
この法案の施行についてボブ・ハーツバーグ上院議員は「環境政策とプラスチック汚染との闘いにおいて、カリフォルニア州がリーダーとしての役割を確固たるものにするものだ。カリフォルニアがそうなれば国への影響がある」と述べた。
カリフォルニア州がアメリカのプラスチック削減の流れをリードしているのは明らかで、他の州がそれに続くことが予想されている。
また、同法案の成立による現地飲食業界への影響も避けられないだろう。カリフォルニア州はかねてからプラスチック削減に積極的に取り組んでおり、すでに2021年には、レストランで利用客の要求がない限り、使い捨てのプラスチック製ストローや食器を提供することを禁止した法案(AB 1276)が成立している。とはいえ高価な代替品を使用する飲食店はまだ少なく、今回の法律施行は多くの飲食店にさらなる影響を及ぼすと予想されている。同時に、今後より手頃な価格で、環境に配慮した代替品の選択肢も増えることになるのではないだろうか。
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【参考サイト】Governor Newsom Signs Legislation Cutting Harmful Plastic Pollution to Protect Communities, Oceans and Animals
【参考サイト】AB-1276 Single-use foodware accessories and standard condiments.
【参考サイト】外務省:SDGグローバル指標(SDG Indicators)
【参考サイト】環境省:プラスチック資源循環