近年、動物愛護の観点や環境問題に対する意識の高まりから「アニマルウェルフェア」や「アニマルフレンドリー」といった家畜福祉の考えが広まりつつある。日本でも2021年8月に、内閣府の食堂で使用する卵が100%ケージフリーエッグに変更されたことが話題となった。

ケージフリーとは、平飼いや放し飼いなど、採卵鶏をケージの中に入れずに飼育する方法だ。従来のケージ内で飼育する方法がアニマルウェルフェアの考え方に反しているという考えから、世界的で推進されている。

そうしたなか、オープン・ウィング・アライアンス(OWA)は、2022年5月16日に「ケージフリー進捗および達成レポート」を発表した。OWAは、採卵鶏のケージ飼育の根絶を目指す世界的連合だ。世界63か国から82の動物保護団体が加盟している。日本では、人間の食料に使われる動物(ファームアニマル)の苦痛を減らす運動を行う、ザ・ヒューメイン・リーグ・ジャパンが加盟している。

OWAの発表したレポートによると、“2021年までにサプライチェーンから採卵鶏のケージを撤廃する“という「ケージフリー公約」を掲げていた企業のうち、88%が公約の実現を達成したという。前年に実施された、2020年を対象とする調査での達成率は85%。前年を上回る成果をあげた。

公約を実現し、ケージフリーへの完全移行した企業の内訳は下記の通り。
・レストラン 394 社
・製造業  231 社
・小売業者 133 社
・フードサービスおよびケータリング会社 96社
・ホスピタリティ企業 73社
・生産者 38社
・流通・卸業者 16社

OWAのディレクターであるアレクサンドリア・ベック氏はプレスリリースのなかで、「何千もの企業から家畜福祉に関する公約が出されることは、家畜福祉の進歩を示す重要な指標となります。しかし、公約だけでは動物の扱いが改善されることにはなりません。サプライチェーンがこうした非人道的な慣行から脱却することを促進するためには、企業がケージフリーの目標に向けて前進し、それを世の中に報告することが必要です。私たちの調査データによると、世界の鶏の11%以上がすでにケージフリーであり、養鶏業の未来はケージフリーにあることを示しています。」と述べた。

国内では、イオンやコストコなどの大手の食品スーパーマーケットでも取り扱いが始まっているケージフリーエッグ。消費者の認知度も高まっていることが窺える。飲食店においても、アニマルウェルフェアに配慮した食材調達に取り組み、発信をしていくことで、お客さまの共感を得るお店づくりに繋がるのではないだろうか。

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