
近年、大量のプラスチックごみは、環境破壊を引き起こす要因のひとつとして知られている。2019年における使い捨てプラスチックの年間廃棄量は、世界全体で約1億3000万トンにのぼった。日本は世界第4位のプラスチックごみ排出国で、廃棄量は約471万トンを占めている。
SDGsの目標を達成し、持続可能な社会を実現するために、日本では2022年4月にプラスチック資源循環促進法が施行された。また、「スターバックスコーヒージャパン株式会社」や「株式会社J-オイルミルズ」といった大手企業においても、プラスチック削減の取り組みが進められている。
そうしたなか、環境に優しい製品やサービスを取り扱う「ModernR(モダナー)合同会社」は、インドネシアで開発されたエコフレンドリーな梱包資材「BIOPAC(バイオパック)」の日本での受注販売を、2023年4月より開始した。
BIOPACを製造しているのは、女性2人が設立したインドネシアの企業。ラップやサシェ、ガセット、巾着袋、シールテープなど、BIOPAC製品には多彩なラインナップが揃う。
BIOPACは海藻から作られるバイオプラスチックであり、海陸どちらでも生分解可能な素材。土中の場合、土壌に生息する微生物の多様性によって変わるものの、5〜12日で分解される。海中の場合は分解に多少時間がかかるものの、もともと海藻なので魚が好んで食べるという。
また、原料の海藻には有害な化学物質を一切使わず、処理に必要な水の量も最小限に抑えている。海藻の栽培によって炭素排出量や海洋中のプラスチックごみを減らすように努めているところも、サステナブルなポイントだ。今後さらにBIOPACが流通すれば、生産過多で困窮するインドネシアの海藻農家への有効な支援策になるだろう。
海藻由来のBIOPACは、梱包資材でありながら捨てる必要がないという点で、画期的だ。熱いお湯に入れると約1分で溶けるという性質を活かし、コーヒーやスープのパッケージとして利用することで、そのまま溶かして食べることができる。また、入浴剤の包みに利用することで海藻成分が溶け出し、温浴効果を高めることができるという。
こうした特徴は、廃棄物の削減だけでなく、アレルギー疾患をもつ人や動物性素材を避けるヴィーガンの人にも安心感を与えるものだ。また、BIOPACは加工性にも優れており、着色や印刷、厚みなどを調整すればオリジナルの梱包資材に仕上げることができる。
プラスチック製品を大量に消費する日本だからこそ、飲食店やホテルもBIOPACのようなサステナビリティに配慮された素材について知っておくべきなのではないだろうか。
【関連記事】
【参照サイト】 【食べられるパッケージ!?】「海藻」でつくられたエコフレンドリーな梱包資材 “BIOPAC” 日本上陸
【参照サイト】 「使い捨てプラスチック」の世界ランキング公表 | 一般社団法人日本エシカル推進協議会(JEI)