
プラントベース(植物性)食品業界を支援するアメリカの団体・Plant Based Foods Associationの調査によると、2021年に米国での植物性食品の売上は6.2%成長し、市場総額は過去最高の74億ドルに及んでいる。
植物性食品がより消費者に受け入れられるなか、植物性食品企業「Beyond Meat」のCEOイーサン・ブラウン氏が、2022年6月27日と28日に開催された経済新聞社「ウォール・ストリート・ジャーナル」主催のフォーラム内で、2022年内中の植物性ステーキ肉の発売を発表した。この植物性ステーキ肉はスライスされた形状で、カットステーキとして販売される予定だ。
2009年に創業された同社は、既に植物性のハンバーガーパテ、ソーセージ、挽肉、チキンナゲットなどを販売。他企業とも積極的にパートナーシップを結び、ファストフード企業Yum! Brands と提携したPizza Hut、Taco Bell、KFCでのヴィーガンメニュー提供や、ファストフード大手のマクドナルドと提携したヴィーガンバーガー「McPlant」を限定発売している。他にも、飲料メーカー大手のペプシコと提携して発売したビヨンド・ジャーキーで、スナック市場への参入も果たした。
大手企業の強みである広範囲のマーケティングと生産ネットワークを活用しながら、植物性食品の世界的な市場拡大に積極的に取り組むBeyond Meat。同社のミッションは、世界1.4兆ドル規模と言われる畜産業界を、人間や動物、環境に優しい植物肉で置き換えることだ。EV(電気自動車)トラックの使用などで二酸化炭素排出量や輸送コストを削減し、より環境に優しいサプライチェーンを実現するため、スウェーデンに拠点を置く輸送会社Einrideとパートナーシップを結んだことも話題を呼んだ。
太陽光発電やリチウムイオン電池、携帯電話が登場した際の状況を例に、「新技術は何度かの低迷期を経て安定し、長い年月をかけて主流になる。」と語るブラウン氏。食品業界で植物性食品が主流となるには、将来的で長期的な視野が必要と考えている。
同社の植物性ステーキ肉の発売は、現在の植物性食品業界では珍しいホールカット肉(丸ごと肉)という新たなカテゴリーへの挑戦ともなる。植物性食品業界の市場総額がより拡大する次の一手となるのか、注目したい。
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【参照サイト】
BEYOND MEAT CEO ETHAN BROWN SAYS VEGAN STEAK IS COMING THIS YEAR
2021 U.S. RETAIL SALES DATA FOR THE PLANT-BASED FOODS INDUSTRY
Beyond Meat ホームページ
WITH A NEW ELECTRIC TRUCK FLEET, BEYOND MEAT IS NOW EVEN MORE SUSTAINABLE THAN BEEF
Einrideホームページ
McPlant
WSJ Global Food Forum