
ヨーロッパの多くのカフェやバルにはテラス席が設けられており、街並みや行き交う人々を眺めながら、ゆったりと飲食を楽しめるとあって観光客にも人気を集めている。寒い冬でも、テラス席にはヒーターが設置され、多くの人々で賑わっている。
しかし、近年では地球温暖化への危機意識が高まるなか、こうしたヨーロッパらしい風景にも変化の兆しが現れ始めている。
スペイン・バルセロナでは2025年1月1日から、二酸化炭素の排出削減のため屋外でのガスヒーターの使用禁止令が施行された。
冬季に客が屋外席を避けることで売り上げが減少することを懸念するレストランの主張も踏まえ、市議会は2018年から段階的な廃止を認めている。市議会は12月17日の声明で、150W/m2以下の容量の電気ヒーターは11月1日から4月30日までは引き続き許可されると述べた。
一方で、同じくスペインのマドリードでも屋外暖房器具の使用禁止が提案されていたが、地元裁判所が「暖房器具が地球温暖化に寄与しているという証拠を市議会が提示できなかった」との判決を下したことで、ストップしている。
フランスでは同様の理由で、2021年から暖房付きのテラス席が禁止されている。違反が発覚した場合、最高1,500ユーロの罰金が科せられ、再犯した場合は罰金が増額される可能性があるという。
最近、フランスのテラス席では防寒対策としてブランケットやファーが敷かれた席を用意している飲食店が増えているようだ。以前はガス暖房が当たり前に使われていた場所が、今では新たな代替手段や工夫が施されることで、環境と調和した新しい都市の景色が生まれつつある。
今後も人々の環境意識の高まりとともに、日本でもこうした対策が検討されることもあるかもしれない。その際には、飲食店や利用者にとっての利便性や経済的影響にも配慮しながら、持続可能な視点で議論が進められることを願いたい。
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