製紙業界では「低炭素社会実行計画」を策定し、そのなかで化石エネルギー由来のCO2削減目標に向けて活動を実施している。その結果、2030年度計画(2013年度 比395万t削減)に向けて順調に推移している。さらに政府が表明した「2050年までの温室効果ガス排出を実質的にゼロとする」宣言に賛同し、温暖化対策に長期的、積極的に取り組んでいる。
そうしたなか商品制作や印刷を行う、大阪に拠点を置く「株式会社高速オフセット」が、2022年8月25日よりバナナ茎繊維の配合率20%の「バナナペーパー」を常備在庫として正式に取り扱いをスタートした。
バナナペーパーは、SDGs17の全項目に貢献できるとして期待が大きい用紙だ。これにより幅広い提案が可能となり、SDGsに賛同する企業を印刷の面からサポートすることを目指している。
株式会社高速オフセットは2017年7月、総合印刷会社として生産工程で必要な原材料やエネルギーなど全てにおいて、環境負荷の軽減努力など環境保全活動に自主的に取り組む方針を立てるなど、サステナビリティの実現に力を入れている。
同社では持続可能な開発目標であるSDGsの様々なカテゴリーを網羅した取り組みを行っており、バナナペーパーもそのひとつ。本来なら捨てられるはずの「バナナの茎繊維」を使った用紙で、SDGsの17項目全てに貢献するという。
【バナナペーパーの特徴】
- フェアトレード認証紙
フェアトレードの仕組みで生み出すため、売り上げの一部はアフリカ・ザンビアの人々の支援に活用される
- FSC®認証紙
適切に管理された森林の認証材を使用した紙FSC®認証紙。サステナブルな仕組みの中で作られているため、森林や生態系の保護に繋がっている
- 廃棄物削減に貢献
古くなったバナナの茎は、普段は捨てられてしまう。バナナは1年で成長する植物のため、どんどんと古い茎が増え、環境破壊につながる恐れもある。茎繊維を再利用することで廃棄物の有効活用に繋がる
内閣府が行う脱炭素社会の実現に向けての意識調査(2020年)では、脱炭素社会への取り組みに対し「取り組みたい」と答えたのが91.9%と、国民の意識が高まっているのがわかる。
メニューやポスター、コースター、ショップカードなど、飲食店でも多く使われている紙製品。今使用している印刷用紙をバナナペーパーに変えるだけで、SDGs17項目に貢献できることは強い訴求ポイントとなるだろう。SDGsへの積極的な姿勢を示すことにも繋がるはずだ。
【参照サイト】 高速オフセット、バナナ茎繊維20%配合用紙のバナナペーパーを常備在庫に
【参照サイト】 印刷業界におけるSDGsへの取り組み
【参照サイト】 日本製紙連合会:カーボンニュートラルに向けた取組について
【参照サイト】 気候変動に関する世論調査 2 調査結果の概要 1 – 内閣府