バリ島の熱帯林に佇む「竹」でできた複合施設。環境配慮と文化の継承も

バリ島竹の施設

森林の資源や空間を持続可能な方法で循環利用することは、SDGsの15番目の目標「持続可能な森林の経営」をはじめ複数の目標達成につながる。林業や木材産業に関しても、サステナビリティを重視したプロセスへの変革が求められるだろう。

そうしたなか、世界ではサステナブルな建材として「竹」に注目が集まっている。
竹はイネ科の一種でありながら、引っ張られた際の強度は鋼鉄と同等。強度だけでなく弾力性も高く、複数の板を張り合わせて集成材へと加工するのに適している。薄くて丈夫な建材に仕上がるため、天然資源を節約しながら輸送コストを削減することも可能だ。

また、多様な環境に適応できる竹は、基本的に肥料や灌漑が無くても育つ。そのスピードはきわめて早く、若いものなら1日に最大1メートルも伸びるという。建材に利用できるようになるまで針葉樹が40~60年、広葉樹が100~150年かかるのに比べ、竹は平均で3~5年ほど。さらに、伐採後は再び自然に生育し、植え直す必要もほとんどない。

成長サイクルの短い竹であれば、建材を安定して供給できるようになるうえに、二酸化炭素を効率よく吸収して気候変動を緩和する効果も見込めるだろう。

 

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こうした竹のメリットを活かしたサステナブルな宿泊施設が、インドネシアのバリ島で運営されている。

「Green Village」はJohn Hardy氏が構想・開発した複合施設で、持続可能な暮らしを求める人々が世界中から集う。12棟あるヴィラと住宅に使用されている素材は、ほぼすべて竹だ。
建設にあたっては、バリ島とジャワ島産のDendrocalamus Asperという種類の竹を川沿いの農家から個別に購入。そして、John Hardy氏の娘であるElora Hardy氏がディレクターを務める国際的な建築チーム「IBUKU」が、カスタムデザインと手作業による施工を行った。IBUKUには職人から建築家、デザイナー、エンジニアに至るまで多彩なメンバーが所属。バリ島の伝統的な職人技に新しいデザインのアイデアと現代のエンジニアリングを掛け合わせ、独創的な竹の構造物を生み出している。実際にこれまでバリ島で40棟以上の建築物を設計したという。

また、竹の建築物が長期間の直射日光や雨にも耐えられるよう、一部には耐候性コーティングを施した。加えて、竹を天然ホウ素溶液で処理することで、昆虫に食べられる被害を防止。ホウ素は自然界に存在する元素で毒性も低いため、利用者が安心して滞在できる。
さらにそれぞれのヴィラと住宅では、自然の地形を活かしながら土地への負荷を最小限に抑え、既存の輪郭を維持する工法を採用。その結果、風通しや日当たり、眺望といった1軒ごとに異なる環境条件が個性として最大限に引き出されている。

竹を活用する意義は、環境への配慮はもちろん、文化の継承という面においても大きい。例えば、バリ島のBone村では、職人たちによって竹で家や道具を作る技術が代々受け継がれてきた。しかし、時代の変化に伴いさまざまな選択肢が増えるにつれて、その価値は損なわれつつある。Green Village内の「アナンダ・ハウス」はBone村の職人技を結集して建てられており、ヴィラ自体が伝統技術を保全する博物館のような役割を果たしているのではないだろうか。

日本でも、隈研吾氏が竹を素材に用いた建築を手がけるなど、竹を建材として活用する動きが広まりつつある。これは、木材自給率の向上や脱炭素化の推進につながると同時に、日本各地で問題となっている放置竹林の解消にも貢献し、地産地消型の新たなビジネス創出のきっかけにもなり得る。
今後ますます、観光・宿泊・飲食といった業界でも、竹を活かした新しい価値提案やビジネスモデルに注目が集まることになりそうだ。

【参照サイト】Green Village – Ananda House
【参照サイト】森林×SDGs:林野庁
【参照サイト】竹のさまざまな利点|IKEA
【参照サイト】使うほど脱炭素に貢献?…日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由

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table source 編集部では、サステナビリティやサーキュラーエコノミー(循環経済)に取り組みたいレストランやホテル、食にまつわるお仕事をされている皆さまに向けて、国内外の最新ニュース、コラム、インタビュー取材記事などを発信しています。
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