2021年1月にフランスの南部、アレスにあるレストラン「ONA」が、100%ビーガンのレストランとしては同国で初めてミシュランの星を獲得したことが話題になった。気候変動などの環境負荷が畜産に起因するということが明らかになってから、世界のミシュランスターの中でもプラントベース(植物由来)メニューがトレンドとなってきている。

そうしたなか、2021年9月6日に、世界に30のレストランを展開し、ミシュランの星を21個獲得している有名シェフ、アラン・デュカスは、新しいレストラン「Sapid」をパリにオープンした。フランスの首都パリの東側に位置するSapidのメニューは、95%がプラントベースで、残りは卵、チーズ、魚を使用している。

 

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Sapidを設立したきっかけは、食品業界でサステナビリティがますます重要視されるようになったことにある。デュカス氏は消費者がより健康的で地球にやさしい料理を好むようになり、食品の中でも特に肉類の環境負荷を意識する人が多いと考えている。そこでSapidでは、レンズ豆のボロネーゼやトマトとスイカのサラダなど、ほとんどのメニューがプラントベースの食材を使って提供される。また、デュカス氏は、「自然」というコンセプトのもと全てのメニューを作成しており、「人々の健康と地球にとって良い料理を作ること」と表現している。

Sapidではカーボンフットプリントの低いプラントベース食材を使用する他にも、持続可能で丁寧な生産に取り組んでいる農家や水産業者をパートナーとしたり、食品ロスの削減も宣言したりしている。また、レストランの家具をすべて中古品にするなど料理以外にも環境に配慮した工夫がなされている。店内はテーブル席を中心としたカジュアルな雰囲気で、飲み物を含めて20~30ユーロで食事をすることができるという。これについてデュカス氏は「お客さまの健康にも、地球にも、予算にも配慮しています」とfrancetvinfoの取材にユーモアを交えてコメントしている。

2021年からミシュランガイドでは、環境に配慮したレストランを表彰する「グリーン・スター」を新たに設けた。これは飲食業界の持続可能性に対する意識に大きな影響をもたらした。アラン・デュカスのように著名なシェフが参入することで、プラントベース食材を使ったメニューに驚きや革新がもたらされることに期待したい。

【参照サイト】Michelin-Starred Chef Alain Ducasse Opens New ‘95% Plant-Based’ Restaurant
【参照サイト】sapid
【参照サイト】Gastronomie : “Cultiver ses légumes, c’est un luxe absolu”, reconnaît le chef étoilé Alain Ducasse

table source 編集部
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table source 編集部では、サステナビリティやサーキュラーエコノミー(循環経済)に取り組みたいレストランやホテル、食にまつわるお仕事をされている皆様に向けて、国内外の最新ニュース、コラム、インタビュー取材記事などを発信しています。
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