FAO(The Food and Agriculture Organization)の報告書によると、フードチェーン全体で世界の食料生産量のうち3分の1にあたる約13億トンが毎年廃棄されているという。では、その食品ロスは一体どこで発生しているのだろうか。
食品の生産から消費まで、一連の流れであるフードサプライチェーンの各段階で食品ロスが発生している。主な原因としては製造業者の過剰生産や小売店での売れ残り、飲食店での食べ残しなどが挙げられるだろう。
一方で、世界情勢や消費者のニーズに影響され、輸出入が滞ったり売り上げが減ったりする可能性も常に想定しておくことが重要だ。
【関連記事】食品ロス削減にも有効。来客数を予測するAI-Hawk混雑予想カレンダー
そうしたなか、アメリカの大手食品企業2社はAIを導入し、規制コンプライアンスを強化しながら持続可能なサプライチェーンの在り方を模索している。

スナック菓子の大手企業である「Kellanova(旧称:Kellogg(ケロッグ))」はAIの活用に注力しており、2024年には5つの最優先技術のひとつに位置付けている。同社では、特定の原材料が入手できなくなった場合の代替可能な原材料を探すためにAIを活用。このAIシステムにより、より効率的に代替え品へ切り替えることができ、業務を中断する時間や労働負担も減り、変更するための意思決定も迅速化されるという。
また、AIと専門家の知識を組み合わせたプラットフォーム「RegAsk」を介して、世界中の包装や炭素排出などの分野における規制の最新動向を把握。その結果、従業員が他の業務に集中できるようになったとしている。
さらにKellanovaでは、AI企業の提供する「Tastewise」のChatGPTに似たチャットボットを搭載したプラットフォームを活用。このサービスではソーシャルメディア上でのやりとりや家庭のレシピ、レストランのメニューなど数十億のデータポイントを分析し、食品業界で表面化するトレンドを予測。製品開発からマーケティングに至るまで、クライアントの企業活動を支援するものだ。
Kellanovaでは、パッケージや訴求内容、おすすめレシピの考案などにこのTastewiseのプラットフォームを使用。さらに、EdgeやCopilotといったマイクロソフトのAIツールも活用し、新製品開発に役立つ潜在ニーズを掘り出しているという。

もう1社は、大手原料メーカーの「Ingredion」だ。関税やスエズ運河での船舶の座礁など予期せぬ障害によりサプライチェーンが危機に直面した場合、どの原料が最も影響を受けるかをAIで予測するという。
また、自社でサプライチェーンネットワークの「digital twin」を構築し、製造および流通の拠点、原材料の供給状況とそのコスト、世界中の消費者動向データを統合。関税をはじめ特定の事象がサプライチェーン全体にどのように波及するか仮想空間上でシミュレーションし、潜在的な課題が浮上するリスクに備えている。

AIの技術革新が進む昨今、消費者動向やサプライチェーンの危機など未来の出来事を予測することはもはや不可能ではない。同時に、持続可能な食糧の調達とメニューの安定供給が可能となるのもメリットだ。さらに的確な製造・供給のサイクルが確立されれば、コスト削減や食品ロスの削減につながる。消費者のトレンドにも柔軟に対応できるのではないだろうか。
【関連記事】
【参照サイト】Global food losses and food waste
【参照サイト】農林水産省|特集「食品ロスって何が問題なの?」
【参照サイト】総務省|令和5年版 情報通信白書|デジタルツイン
【参照サイト】RegASK
【参照サイト】Tastewise
【参照サイト】How food giants are embracing AI to forecast recipes, regulatory hurdles




















































