都心の「ビル産ビル消」、屋上ファームで収穫した野菜や魚をビル内のレストランで提供

AGRIKO FARM

農業は、食生活を支える重要な産業のひとつ。しかし近年に日本では、気候変動の影響や高齢化による就業人口の減少など、農業の衰退を招きかねない問題が多く生じている。

その解決策として注目されている取り組みが、「地産地消」だ。農林水産省は、地産地消について「地産地消とは、国内の地域で生産された農林水産物(食用に供されるものに限る)を、その生産された地域内において消費する取組」と定義しており、食料自給率の向上や地域の活性化といった効果が期待される。

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また、2020年に楽天株式会社が行った調査では、約60%の人が「食品の地産地消を意識している」と回答。生産者だけでなく、消費者の地産地消に対する意識も高い様子がうかがえる。

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株式会社AGRIKO代表/俳優の小林涼子氏

そうしたなか、農福連携サービスを展開する「株式会社AGRIKO」は、レストラン、パティスリー、デリ、食品を取り扱うショップ「gicca 池田山」の屋上に、「AGRIKO FARM」の2拠点目となる「AGRIKO FARM 白金」を2023年9月5日に開園した。

AGRIKO FARM 白金は、「ビル産ビル消」を実践する循環型の屋上ファームだ。ビルの屋上で野菜や魚を育て、収穫後にビル内のレストランで提供することで、生産者が少ない都市部でも地産地消を実現できる。

AGRIKO FARM

この屋上ファームでは、水耕栽培と養殖のシステムを組み合わせ、生物の共生環境を作り出す「アクアポニックス栽培」を導入。野菜には農薬・化学肥料を使わず、魚も抗生物質なしで育てており、人と環境にやさしい農法といえる。また、竹害に悩む地域から譲られた竹を栽培設備に使用しているところも、サステナブルなポイントだ。

ビル産ビル消を通じて、デッドスペースになりがちな都市ビルの屋上を農地として有効活用できる。生産地から食材を輸送する必要がなくなるため、環境負荷を示す「フードマイレージ」の低減も可能。さらに、ビルの断熱効果やCO2排出量の削減を推進することにもつながるだろう。

AGRIKO FARM

AGRIKO FARMの野菜を使ったメニュー

AGRIKO FARM 白金で収穫された食材は、同ビル2階のレストラン「gicca」にて、期間限定メニューとして味わえる。

【メニュー】
・AGRIKOファームのジェノベーゼ -ハーブとマリーゴールド添え
・巨峰とセージのミルフィユ -カシスアイスクリーム添え
・ハーバルグラニテ -レモンバーベナ香るトニック

 

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今後、ビル産ビル消の取り組みが広がれば、企業や飲食店にとって地産地消の新たな選択肢となるだろう。

また、株式会社AGRIKOは農福連携にも注力しており、農業分野における障がい者の就業を支援。障がい者が生き生きと働ける場所を作るとともに、農業の働き手を確保できるよう努めている。こうしたサステナブルな企業努力は、SDGsの目標達成に欠かせない。多角的な取り組みを進める同社の活動に、今後も注目したい。

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