2019年の使い捨てプラスチックの廃棄量は世界全体で約1億3000万トンにのぼり、そのうち日本の年間総廃棄量は、431万トンを占めた。世界第4位のプラスチック消費国である日本だからこそプラスチックごみ削減に取り組む努力が必要だといえる。
プラスチックの廃棄量削減と資源の循環を促すために、2022年4月には「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(プラスチック資源循環法)が施行された。この法律では、飲食店やホテルといった事業者に対し、国が特定プラスチック使用製品として定めた12品目の削減を求めている。
特に宿泊業においては、削減対象となる歯ブラシやくしなどのアメニティグッズに限らず、プラスチック製品を宿泊客に提供するシーンが多い。そこで、全国各地のホテルでは、さらに踏み込んだプラスチック削減の対策を進めている。
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こうした動きのひとつとして注目したいのが、株式会社「アゴーラ ホスピタリティーズ」の活動だ。同社は、全国で10の宿泊施設を展開する「アゴーラ ホテル アライアンス」のうち1都2府の施設において、2023年3月よりプラスチック製カードキーを廃止し、木製ルームキーへの変更を開始した。実際に木製ルームキーを導入するホテルは、以下の6つ。
【東京都】 アゴーラ 東京銀座/アゴーラ 東京浅草/TSUKI東京
【京都府】 アゴーラ 京都四条/アゴーラ 京都烏丸
【大阪府】 アゴーラプレイス 大阪難波
木製ルームキーには、FSC(Forest Stewardship Council)認証の木材を使用。適切な森林管理のもとで生産された木材を選ぶことにより、生物多様性や地球環境の保護に貢献している。とりわけ、ルームキーの素材を単純にプラスチックから木材に切り替えるだけでなく、環境への配慮も重視しているところがサステナブルなポイントだ。
また、アゴーラ ホテル アライアンスでは、ほかにもサステナブルな取り組みを行っている。今回、ホテルで提供する紙袋を100%リサイクル可能な仕様に変更。紙袋の持ち手部分には、紙を高密度に編んで作った紐が使われている。こうした工夫の積み重ねによって、ホテルで発生する廃棄物量全体を減らす効果に期待したい。
エコツーリズムの関心が高まりつつある昨今、ホテルには持続可能なホスピタリティがより強く求められている。プラスチックごみ削減の先に循環型社会の実現を目指すのであれば、お客さまが直接手にする木製ルームキーの導入は宿泊業界に定着させたいアイデアではないだろうか。
【参照サイト】 アゴーラ ホテル アライアンス 環境を守るSDGs活動として木製ルームキーと100%リサイクル可能な紙袋を導入
【参照サイト】 「使い捨てプラスチック」の世界ランキング公表 | 一般社団法人日本エシカル推進協議会(JEI)
【参照サイト】 Forest Stewardship Council