プラントベースホールフードとは
肉や魚、卵などの動物性食品に対して使われるのが「プラントベースフード(植物性食品)」。プラントベースの中でも、肥料や農薬を使わない自然栽培で作られた食材で加工や精製をせずに、素材の持っているものをすべて食すことを「プラントベースホールフード」という。
プラントベースホールフードのメリット
健康への影響
一般的に果物や野菜の実や葉には残留農薬などに対する不安があるため、果実以外は食べないほうが安全だ。一方で、自然栽培によって育てられたものは化学的な肥料や農薬を使用しないため、まるごと食べることが可能だ。また、野菜や果物のヘタや茎、皮や種などに栄養が豊富ということにも着目したい。
食品ロス削減
プラントベースホールフードは通常は料理の過程で捨ててしまう野菜や果物のヘタや茎、皮や種などもまるごと食べるので食品ロス削減にもつながる。大量に食材を使用する飲食店では皮をむく手間が省け、大幅に時間短縮できるというメリットも考えられる。
環境にやさしい
近年、家畜から排出される温室効果ガスが気候変動を加速させているということから、肉の摂取を控え、プラントベースフードを多く摂取する人が増えている。また、プラントベースホールフードは化学的な肥料や農薬を使わない自然栽培で生産されるため、環境にはもちろん、生産者の健康面でも負荷が少ない。
プラントベースホールフードの例
野菜
根菜類の皮は薄いので、むかなくても違和感なく食べやすい。また、むいた皮だけを味噌汁やスープに入れたり、きんぴらなどの炒め物に混ぜることもできる。かき揚げやチップスにしてスナック感覚で食べるのもおすすめだ。
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ダイコンやカブの葉は食べやすく、日本では昔から炒めてふりかけにするなどして食べられてきた。ラディッシュはサラダにすると実と葉の色のコントラストが美しい。また、サツマイモの葉や蔓は甘みがあり、炒め物や煮付けにも最適だ。
果物
リンゴやブドウは皮が薄いので、そのままでも食べやすい。少し皮が厚めの柑橘類などもドライフルーツや焼きフルーツにすることで、水分が抜けて甘味が凝縮し、食べやすくなる。マーマレードのようにジャムやコンポートに混ぜてもアクセントになるだろう。
自然栽培蜜柑をはじめとしたオーガニックな品質の果樹・野菜の生産販売を行う宗自然農園ではみかんジュース「純の恵み」に栄養豊富な外皮も丸ごと使用している。また、皮をむいて食べるのが一般的なバナナだが、宮崎県のNEXTファーム宮崎では国産かつ皮まで食べられる無農薬栽培のバナナ「NEXT716」を作っている。
穀物
食品大手のミツカングループが始めた新プロジェクト「ZENB」は、植物の皮、芯、さや、種、わたなど従来捨てられてきた部分を可能な限りまるごと使うことをコンセプトとしている。糖質制限やグルテンフリーなど健康を気遣う人のために開発された「ZENBヌードル」には黄えんどう豆の薄皮まで使われている。また、「コーン ゼンブ ペースト」にはトウモロコシの実はもちろん芯まで使用、「枝豆 ゼンブ ペースト」には豆の部分だけでなく、さやまでまるごと使用されている。
プラントベースホールフードの今後
現在、日本で最も一般的な作物の栽培方法は、肥料や農薬を使用した慣行栽培だ。プラントベースホールフードは、化学的な肥料や農薬を使わない分、土壌を整備したり害虫を駆除したりするのに労力がかかって量産しにくいことから、慣行栽培で作られた作物を標準とすると、価格が高い。また、慣行栽培に比べて生育期間も長くかかるともいわれている。一方で、2021年にプラントベースの情報サイトVegewelがおこなった調査によると「無添加・オーガニック」の食生活に取り組む人は8.7%で2017年の同調査の6.8%からわずか5年で1.9%増加している。また、ベジタリアンやヴィーガンなどの菜食主義に取り組む人も5年前から増加傾向にある。この調査結果からも、食べ物の摂取を通して健康を気遣う人が増えていることが伺える。飲食店においては食品ロスなどの観点からも、プラントベースホールフードを取り入れることで、サステナビリティの向上につながることが期待できそうだ。
【参照サイト】Natural Harmony
【参照サイト】House E-mag|ハウス食品グループ本社株式会社