グリーンコンシューマリズムとは

グリーンコンシューマリズムとは、環境に配慮して生産された、また地球資源のリサイクルと保護に取り組む製品やサービスを選ぶ消費の考え方や、購買活動で社会を変えていこうとする動きのこと。

つまり、グリーンコンシューマリズムは消費者が各々の消費活動に責任を持つことはもちろん、消費活動を通して、環境負荷の少ない製品やサービスの普及・促進などの改革を、社会や産業に求めるものだ。

グリーンコンシューマリズムが浸透した背景

グリーンコンシューマリズムを実践する消費者である「グリーンコンシューマー(緑の消費者)」の増加や、グリーンコンシューマリズムが浸透した背景には、年々深刻化する気候変動や環境問題がある。豊かな自然環境を維持し、消費者と生産者のニーズや利害関係を満たした循環型社会の実現を目指して、消費者側から起こせるアクションとしてこうした概念が誕生した。

消費者の環境への意識が高まる昨今、グリーンコンシューマリズムの更なる普及が予想される。SDGsにも含まれる環境・人権問題などを解決するためには、先進国に蔓延している大量生産・大量消費というリニア型のビジネスモデルから、持続可能なサーキュラー型のビジネルモデルへの早急な移行が求められている。

グリーンコンシューマーが消費活動を行う際に注目しているポイント

環境NGOである「環境市民」は消費者に向けて、環境に配慮した選択をするためのポイントとして「グリーンコンシューマーの買い物 10の原則」を挙げている。

「グリーンコンシューマーの買い物 10の原則」
1.必要なものを必要なだけ買う
2.使い捨て商品ではなく、長く使えるものを選ぶ
3.容器や包装はないものを優先し、次に最小限のもの、容器は再使用できるものを選ぶ
4.作るとき、買うとき、捨てるときに、資源とエネルギー消費の少ないものを選ぶ
5.化学物質による環境汚染と健康への影響の少ないものを選ぶ
6.自然と生物多様性をそこなわないものを選ぶ
7.近くで生産・製造されたものを選ぶ
8.作る人に公正な分配が保証されるものを選ぶ
9.リサイクルされたもの、リサイクルシステムのあるものを選ぶ
10.環境問題に熱心に取り組み、環境情報を公開しているメーカーや店を選ぶ

 

飲食店が取り組むグリーンコンシューマリズムへの対応

グリーンコンシューマリズムへの対応として、飲食店としてできることはさまざまだ。
消費者の求めるものを知り対応することは、消費者のニーズを満たし、環境に配慮した社会に貢献することにもつながる。

包装の無駄をなくす

グリーンコンシューマリズムにおいて、梱包や包装はできるだけ簡易に、またプラスチック製ではなく再生可能素材の活用や再利用が推奨されている。テイクアウト容器に再生可能素材のものを採用することや、マイ容器・マイカップを受け付けることで、こうしたニーズに対応することができる。

食品ロスの削減

食品ロスは、将来的な食糧不足や飢餓問題だけでなく、焼却処分の際に排出される二酸化炭素による地球温暖化の進行など、さまざまな環境問題に関連する。

料理の量を調整・選択できるようにすることや、料理のボリュームがわかるようメニューに写真を加えること、規格外の野菜や果物の活用や、生ゴミの堆肥化、食べ残しを持ち帰るための容器を用意するなど、飲食店としてできる工夫はさまざまだ。

食材ロス削減に取り組むことで、環境負荷を減らすだけでなく、仕入れをはじめ調理や準備などにかかる時間や人件費、廃棄物の処理にかかるコストの削減も期待できる。

エネルギー効率の向上と排出ガスの減少

近年、飲食店の厨房における温室効果ガスの排出量が問題視されており、二酸化炭素の発生なく水素を燃焼させる調理法「水素調理器」の導入や、太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスといった、温室効果ガスを排出しない「再生可能エネルギーの活用」にも注目が集まっている。

また、食材の運搬によって発生するカーボンフットプリントを削減するため、地産地消に取り組むことも手段のひとつだ。効率的にエネルギーを利用することで、温室効果ガスの削減だけでなく、光熱費の削減にもなり、店舗の運営コスト削減にもつながる。

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環境負荷やアニマルウェルフェアへの配慮など、“食材の生産過程”を重視した調達

近年、健康面への配慮だけでなく、畜産による環境負荷やアニマルウェルフェアへの観点からヴィーガンやベジタリアンを選択する消費者も増えており、消費者が食材の“生産過程”を重視する傾向が強まっている。

ヴィーガンに対応したメニューの導入だけでなく、動物性食品においても、ケージフリーエッグなどアニマルウェルフェアに配慮した飼育方法で生産された食材を調達することで、こうした需要に応えることができる。

また、人工的な化学肥料や農薬を使わずに栽培されたオーガニック食材にも注目が集まっており、都市農業や省資源栽培など環境に配慮した栽培方法で作られた野菜や果物を採用することも手段のひとつだ。

グリーンコンシューマーの消費活動において、環境面に配慮がされているかが最も重要な判断基準だ。近年のこうした流れを受けて、ホテルや飲食店としてもグリーンンコンシューマリズムの概念を理解し、消費者のニーズに応えるグリーンな視点を導入した取り組みを実践していくことが求められるだろう。

【参照サイト】Green Consumerism: Importance, Examples and Strategies
【参照サイト】グリーンコンシューマーの買い物 10の原則