フラワーロスとは

フラワーロスとは、美しいのにも関わらず行き場を失い廃棄されてしまう花のことを指す。また生産者から出荷される際に、品質やサイズなどが規格外であることを理由に廃棄される花もフラワーロスとされる。

まだ食べられる食品が廃棄される食品ロスへの認知度は年々増し、食料の廃棄削減へ向けた取り組みが拡大している。だが廃棄の問題は食品に留まらず、花ものそのひとつだ。フラワーロスによる経済損失は年間で1,500億円とも言われている。

フラワーロスの背景

「花き」と呼ばれる切花や鉢花などの観賞用の植物の個人消費における市場規模は、年々減少傾向にある。農林水産省は、2021年に発表した花きの現状について、切り花1世帯あたりの購入額は1996年の13,130円をピークに徐々に減少し、2020年では8,152円になったことを明らかにしている。

また、コロナ禍による自粛の流れにより、今まであった花きへの需要がストップし流通停止状態になった影響も大きい。人々が集まる場所を彩るための装飾や、記念日や祝い事の際に贈られてきた花きの購入が、一気に減少したこと。これにより生産者が大切に育てた花が、消費者の目に留まることなく廃棄されるという、膨大な量のフラワーロスが起きていた。実際に流通金額を比較してみると、2019年と2020年では約43.8%減少していることがわかる。

ただコロナ禍においてその現状が浮彫りになったものの、花業界全体の構造に問題があったのも事実。例えば花業界の「プロダクトアウト」という流通スタイルでは、消費者への供給がわからないため、小売業者が過剰に入荷してしまい短い期間で売れないものは廃棄するしかなかった。結果、廃棄される花きは仕入れの30~40%とも言われている。
また結婚式やイベント会場などで使われる装飾用の花も数時間という短い役割ののち処分される。このような花きのあり方や流通そのものもフラワーロスの一因といえる。

フラワーロス削減のためにできること

フラワーロスの対策としてはまず、記念日をはじめ日常的に花を贈り飾るという花のある暮らし、花文化を取り戻すこと。それはコロナ禍が続く今こそ取り入れることで心の豊さが生まれ、花の魅力をより享受できるのではないだろうか。

花をどこから買うか

花を暮らしに取り入れることは、花業界を守ることに繋がる。近くのお店で購入することも大事だが、さらに可能であれば生花店の選び方も意識したい。

  • イベントなどを通して規格外の花を販売する東京 虎ノ門にあるフラワーショップ「hanane(ハナネ)」
  • 「花のロスを減らし花のある生活を文化にする」をミッションに掲げ花農家と消費者の架け橋になる「Flower cycle marche(フラワーサイクルマルシェ)」
  • また「日本の廃棄される運命にある花を少しでも救いたい」という想いでコロナ禍の2020年発足した「スマイルフラワープロジェクト」

このように生産者を応援する取り組み、そして廃棄ゼロを目指すなど人や環境に配慮した販売店を選ぶことはエシカル消費にも繋がる。

イベントでフラワーロスを解決

企業や法人としての取り組みも、拡大傾向にあるようだ。またフラワーロス削減のためのイベントが各地で行われている。

世界遺産興福寺で開催「2万本の花で荘厳する祈りの2日間」

コロナ禍によって生じたフラワーロス(花の廃棄問題)を解決するため、2020年に設立したフラワーライフ振興協議会では様々な取り組みを行っている。
地元の文化や伝統に触れながら花の魅力を伝える「スマフラフェス」は、全国の国宝や世界遺産で開催されている。

2020年11月に奈良県の世界遺産・興福寺で実施された「2万本の花で荘厳する祈りの2日間」。日本随一の菊産地、奈良県平群(へぐり)の農家が栽培した小菊を中心に、2万本の花を買い上げて献花奉納を行った。開催期間中は花灯篭や五輪花など、様々な花のオブジェが登場し人々の目を楽しませ、また最後にそれらの花は来客者が持ち帰ることができ喜ばれていた。

琵琶湖ホテルでバラの展示

滋賀県にある琵琶湖ホテルでは、館内の装飾やサービスに滋賀県の特産品を積極的に取り入れるなど地産地消を意識しつつ、滋賀県の魅力を伝えている。

2022年6月2日「ローズの日」から7月8日までの約一ヶ月に渡り、同館のロビーではバラの装飾を展示。滋賀県守山市でバラ一筋50年の生産者「クニエダ株式会社」による多様な品種のバラが使われ、ゲストはバラの奥深い魅力に触れることができた。
展示を終えて廃棄される花はドライフラワーにして館内装飾などに再利用、フラワーロス削減にも繋がっている。

【関連記事】

琵琶湖ホテル、館内の装花も地産地消で。フラワーロス削減の取り組みも

【参照サイト】フラワーライフ振興協議会
【参照サイト】農林水産省:花きの現状について
【参照サイト】スマイルフラワープロジェクト
【参照サイト】日本一の菊産地・奈良「2万本の花で彩る世界遺産興福寺」
【参照サイト】hanane
【参照サイト】Flower cycle marche