バイオプラスチックとは

バイオプラスチックとは、「バイオマスプラスチック」と「生分解性プラスチック」の総称だ。
バイオマスプラスチックとは、植物などの再生可能なバイオマス(生物資源)を原料に製造されるプラスチックのことを指す。一方、生分解性プラスチックとは、微生物等の働きによって生分解され、最終的に二酸化炭素と水にまで分解されるプラスチックのことである。

2022年02月08日に発行されたREPORTOCEANのレポートによると、2021年のバイオプラスチック包装の世界市場は、140億米ドル。2022年から2030年には、16.7%以上成長し、2030年には402億米ドルに達すると予測されている。

 

バイオマスプラスチックとは

バイオマスプラスチック(非生分解性)には、汎用樹脂といわれる「ポリエチレン」や、耐熱性などが強化された樹脂の「ポリカーボネート」、部分的にバイオマス由来になっている「バイオPET」などがある。再生可能資源であるバイオマスを原料としているが、生分解性機能を有しているわけではない。

バイオマスプラスチック(非生分解性)の製造法には、主に「発酵法」と「化学合成法」の二種類がある。発酵法とは、サトウキビなどの糖や油脂などの植物原料を発酵して得たエタノールなどの中間原料から樹脂を合成する方法。化学合成法は、糖や油脂などの植物原料から、樹脂を化学合成する方法だ。

従来のプラスチックの主な原料は、石油などの化石資源。化石資源はこのままのペースで使い続けた場合、いずれ枯渇すると言われている。一方で、バイオマスプラスチックは、1~10年の比較的短いサイクルで再生産することができる。さらに、従来のプラスチックの機能やリサイクル方法もほぼ同様であることから、レジ袋や食品容器などへの活用が広がっている。

樹脂や原料となるバイオエタノールやバイオナフサなどの多くは、ブラジル、インド、中国、フランスなどから輸入されている。近年では、日本でもバイオマスプラスチック樹脂製造の事業化が始まりつつある。

 

生分解性プラスチックとは

生分解性プラスチックには「化石資源を原料とするもの」「バイオマスを原料とするバイオマスプラスチック(非生分解性)」「部分的にバイオマス由来になっているもの」の三種がある。

日本で普及している生分解性プラスチックの約7割は、バイオマス由来だ。その他には、化石資源由来のナフサが主な原料として挙げられる。バイオマスプラスチックと同じく、発酵法と化学合成法の製造法がある。

生分解性プラスチックが生分解されるためには、一般的に低分子量化された後、微生物の働きによって二酸化炭素と水に代謝される必要がある。完全に分解されなかった場合、マイクロプラスチックとして自然環境中に流失する可能性がある。また、樹脂によって、分解温度や必要時間などが異なるため、工業や家庭コンポストなど、分解環境に適した生分解性プラスチックの選択に留意しないと、生分解性が十分に発揮できない。

なかには、従来の化石資源由来のプラスチックとは構造や物性が異なるため、従来のリサイクルに適さないものもある。原料の多くは、バイオマスプラスチック(非生分解性)と同じく、米国、タイ、中国、イタリアなどから輸入されており、日本国内でも一部樹脂が生産されている。

 

バイオプラスチック活用の現状

世界中で活用が進められているバイオプラスチック。飲食店のテイクアウト用資材においても、実用化が進んでおり、活用事例も増えてきている。

アメリカ・ニューヨーク発祥の食のセレクトショップ「DEAN & DELUCA」では、2021年の秋から店頭で使用している使い捨ての梱包材やカトラリー類などを、植物由来のバイオ素材へ切り替えた。

アメリカ・サンフランシスコ発祥の「ブルーボトルコーヒー」では、バイオプラスチック製のストローや、テイクアウト用のカップを使用している。主にとうもろこしから製造されているため、微生物による分解が可能だ。

また、2022年4月に使い捨てプラスチックなどの削減を目指す「プラスチック資源循環促進法」が施行されたことで、ホテル客室のアメニティでもバイオプラスチックの活用が進んでいる。

大阪心斎橋の「ホテル日航大阪」では、ヘアブラシ、かみそり、歯ブラシなどの客室アメニティをバイオマス原料、再生プラスチックなどを使用した製品への移行を進めている。ホテル日航大阪の客室プラスチックごみ排出量は年間約7.6トン。上記6品目の全客室への移行が完了した際には、最大約40%の削減となる見込みだという。

株式会社東急ホテルズが運営を行う「横浜ベイホテル東急」「横浜東急REIホテル」では、日本初となるカネカ生分解性バイオポリマー Green Planet®を柄の部分に使用した歯ブラシを導入した。Green Planetは海水中でも生分解する海洋汚染低減に貢献する素材で、ブラシ部分はバイオマスナイロン100%の植物由来だ。

【参照サイト】環境省:バイオプラスチックとは?

【参照サイト】バイオプラスチック包装の世界市場は2030年まで複合年間成長率16.7%で成長する見込み

【参照サイト】ブルーボトルコーヒーとは

【参照サイト】プラ循環法、ホテルの対応策は?取り組み事例11選

【参照サイト】【DEAN & DELUCA】減らそう、ワンウェイプラスチックープラレジ袋ゼロつづき、テイクアウト食品トレイらを植物由来の素材へ

【参照サイト】【ホテル日航大阪】プラスチックごみ削減に向け、バイオマス原料を使用した客室アメニティを順次導入

【参照サイト】土の中で分解可能なバンブーファイバーを使用した、環境に配慮したエコカップがブルーボトルコーヒーから登場

【参照サイト】日本初100%植物由来Green Planet®を使用した歯ブラシ導入および無償提供プラスチックペットボトル全店舗廃止へ